☆燃料電池車、電気自動車は成長の起爆剤になりえない

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経済成長と無縁の遊び科学に税金投入は無駄の極地

アベノミクスとやらは、第三の矢として電気自動車、燃料電池車(FCV)に公的投資をし、大幅減税を施したことに、日本のマスコミもこぞって賞賛しているようだ。
電気自動車、FCVは製造過程からトータルに吟味すれば、構造が複雑な分、製品を作る過程でより大きな生産エネルギーを消費することを忘れているようだ。ゆえに価格が高くなり、補助金なしには競争力のある商品とはならない。 後述の問題もあり、どう考えても経済成長の核にはなりえない。

FCVのエネルギー源の水素は自然界に単独で存在しない
FCV(燃料電池車)は基本的には水素と酸素を反応させて電気を生成し、モーターを回して車を走らせる。 が、その燃料たる水素はごく稀な例を除いて自然界に単独で存在する天然資源ではない。既存の発電設備から得た電力を使っての水の電気分解あるいはメタン(天然ガスの主成分: CH4)から改質(炭素分を剥がす)によって作るものだ。
電気自動車で使用する電気は、基本的に原子力発電が期待できない今、主に石油、石炭、天然ガスでといった化石燃料による火力発電によって作られる。従って電気自動車、FCVの普及が地球環境の改善に画期的に資するものではない。

太陽光発電は微力ゆえに主要エネルギー源にはなりえない
太陽光発電があると云うが、余程の技術的ブレークスルーがなくては、太陽光発電コストは火力を主とする従来型発電設備による発電コストの2倍以内に収まることは困難だ。 政府はいつまでこの差額に対して実質国民負担となる補助を出し続けるのか? 政府は電力会社に対して強制的に太陽光発電分を高い価格で買わせ、その分は実質我々の電気料金に乗せられている。そして太陽光発電業者にとってはその差額分が儲けの源泉となっている。

共にガソリン価格の5割を占める道路整備税を払わずに道路を使用している
燃料電池車については、FCVは一台1千万円以上の製造コスト、水素供給インフラの今後の整備状況を考えれば、所詮大衆を欺くに過ぎないエコロジー・デモンストレーションのための道具の域を脱していない。 電気自動車の価格は同等のガソリン車の2倍を超えるのが現状だ。 価格が高いということは、エネルギー資源を大量消費する事(CO2排出)とほぼ同義である。
つまり、新製品の効率化により節約できる将来のエネルギーコストが新製品の付加コストを上回らなければ意味が無い。

さらに誰も言及しない事実がある、PHVでも電気自動車でも言えることであるが、これらの車は燃料に相当する電気を電力会社から買っているので道路整備等に使われる実質目的税であるガソリン税、軽油引取税を払わずに道路を使用している(PHVは一部)。
将来のエネルギーコストの計算についてこれらの税を考慮しないことはインチキに他ならない。簡単に試算すると、小型の電気自動車の電費(電池容量1Kwhあたり何キロ走るか)は5Km/Kwhとする。1Kwhの電力売価は約25円とする。 一方同等のガソリン車の燃費は10Km/Lとし、ガソリン価格を120円/Lとし、その内ガソリン税を60円/Lとすれば、道路使用1Kmについて6円の税金を支払うべきと考えられる。従って電気自動車は1Km走行するのに11円、ガソリン車は12円と試算できる。

新エネルギー車の補助金をなくすと、元を取るのに150万キロの走行がブレイク・イーブン
電気自動車の価格を優遇分を考慮せずに300万円とし、ガソリン車を150万円とし、電気料金、ガソリン価格も今後一定であるとするなら、元をとるのには、150万キロの走行が必要となる。しかし、電気自動車の電池の寿命は精々20万キロ、20万キロごとにバッテリー交換の費用が現状最低でも50万円程度はかかる、ガソリン車も整備費用が必要だが電気自動車もバッテリー以外の整備費用が掛かるので、結局電気自動車の走行コストは13.5/Km と試算できる。 つまり同じ土俵で計算すれば電気自動車の総合コストはガソリン車より高いのである。 現状では電気自動車は節税メリットを享受するための自動車であり、真のエコカーではないという現実が見えてくる。

100年前から原油はあと30年で枯渇すると言われてきた。ところが新技術の開発でほぼ底なしに存在することが明白になってきた。いま取り組むべきは既存のガソリンエンジンのダウンサイジング等によるクリーンな排ガス車と効率の両立化。シェールオイル等の重い原油の精製過程で過剰となっている軽油より重い油を直接の燃料としても環境基準を満たすような改良小型ディーゼルエンジンの開発であろう。

政府の補助金は補助金狙い企業を潤すだけ
トンチンカンな政府の新産業政策投資によって、いつまでたっても採算の取れない太陽光発電、無知なエセエコロジストを喜ばす為の水素自動車、実は高価な電気自動車。これらに対して減税や税金の補助は、大衆を欺く選挙対策の死に金に他ならない。今や世界一の借金政府ともいえる日本政府が行う政策ではない。バカな政府の尻馬に乗り、マスコミも新しければよいという単純な発想は止めて頭を冷やし、マスコミの本来の機能は知性、理性、見識をもって権力、政府に対するけん制であることを忘れないでほしい。

政府は成長を妨げる規制緩和に徹していればよい
経済成長を目指すなら、借金によるGDPの単なる嵩上げに奔走することなく、地道に日本経済の生産性の向上に資する分野、ブレークスルーを生み出す可能性のある分野に投資すべきであり、もはや競争力が回復する可能性のなくなった既存産業の延命のために金を使ってはならない。借金を減らす為の具体的なマクロ施策が出てくれば国民、企業のセンチメントも向上してくるはずだ。公的部門が直接的にビジネスに関わっても企業活動レベルでみれば成功するわけがない。公的部門は民間ビジネス発展のための環境整備、規制の改廃等に関わることだけを民間の邪魔にならないようにやっていればよい。

板垣哲史:国際金融コンサルタント。慶大法学修士、BCI、シティバンク東京支店FXチーフ・ディーラー歴任後、シティコープ・フューチャーズ在日代表を経て、現在(株)日本トーマスモアコンサルティング社代表。 著作に『儲かる米ドル預金』マネジメント社、『眠ったお金を揺り起こせ!』ブロンズ新社、『投資に勝つ最強の「心理」法則』(オーエス出版)、『ライフセトルメント投資入門』アールズ出版2011年監修がある。

このレポートは投資判断の参考となる情報の提供を目的として作成されたもので、投資誘導を目的としたものではございません。通貨の選択、投資時期の最終決定は御自身の判断でなさるようにお願いたします。
また、このレポートに関する解説者本人へのお問い合わせはお受け致しかねますのでご了承下さい。
(株)日本トーマスモアコンサルティング


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