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勝率の高いトップトレーダーの気質は?
- 2016/6/24
- 板垣哲史 本日の$/¥

優秀なトレーダーに共通する本質的資質は、現実を直視し、臨機応変に対応できるその決断の速さと度胸であるが、それは外見と異なる場合が極めて多い。
旧来から「武士は、食わねど、高楊枝」と言う言葉がある。これは、典型的な男臭い、男の中の男というタイプの男性のことを意味する。強い自尊心と自らの生き方に対する「誇り」を持って、有言実行、一度心に決めたことは、いかなる状況の変化があっても頑固に初志を貫徹しようとするタイプである。果たしてこのタイプが理想的トレーダーとなりうるのであろうか。
一方、くるくると言うことが変わり、周りの状況や変化に対して、生き延びる為に、周りの非難を恐れず、節操無く言動するタイプを「女が腐ったような奴だ。」と人々は非難する。しかしこうした一般女性特有の世事対応態度は、図らずも、理想的トレーダーになり得る重要な資質ではなかろうか。
なぜなら、女性に特有なこの行動様式は、母性の本能として何が何でも生き延びて子孫を設け、育てなければならないという特性に由来するものである。生存し生き延びる為には、身体を張ってまで、全ての手段を正当化する。たとえ母子家庭となって子供を育てなければならない立場に追い込まれたら、生き延びるための手段を即決しなければならない。女は男より本性的にたくましいのである。ただし、この女的女タイプは独立心とは無縁であり、自ら知恵を出し工夫して自活することよりも、如何に男をうまく利用するかの機転を利かせる言動ばかりが目立つ故に、トレーダーの様に自主独立を目標とする女性諸君の生き方ではない。
一方、男的男は現実を直視できず、夢ばかり食べているのである。男的男は、腕力はたくましくても、ちょっとだけでも自尊心を傷つけられると、怒り暴れるが、おだてにはすぐ乗せられ、そのいく先は破局であってもすぐに舵を切れず、結局は自暴自棄となって立ち上がれなくなる。これでは相場に勝てない。
女性の企業家の中には、財界人の愛人からのし上がった女的女タイプの女社長が数多くいると思われる。しかし財力を蓄えると男的女タイプに変身できたものだけが成功する。もちろん女性の中にも、プライドを保ちながら芸術、才能、努力を武器に成功した男的女のタイプも数が増えてきているのも事実である。封建時代のような単一価値観の中では、男的男タイプもそれなりに存在意義はあったが、多様な価値観が混在する競争社会の中では、男的男タイプの生きる道は、極めて限られていると言えよう。
何故ここまで長たらしく人間のタイプを説明してきたかと言うと、トレーダーとして成功するタイプは、男性なら女的男タイプ、女性なら男的女タイプに限られるということだ。トレーディングの目的は、「団子」であって「花」ではない。収益を上げるか否かの結果勝負である。往年のトップトレーダーであっても、プライドとは恐ろしいもので、いつの間にか男的男となってしまい、自尊心だけがやたら強くなり、反省を忘れ市場から退場せざるを得ないトレーダーを数多く見てきた。 ボロ負けした往年のトップトレーダーの捨て台詞は「俺の取ったポジションは正しかったが、市場が間違った方向に行ったため負けたのだ。」これでは合戦に負けた時代錯誤の武士の捨て台詞と同じになってしまう。
長くトレーダーをやっていると、いつの間にかこの「プライド」が密かに育ち、それが災いし、奈落の底まで我慢した挙句、ぶん投げて身を滅ぼしてしまうことがある。
謙虚に対応するという初心を忘れることなく、同時に、最初に確信したことも、市場の変化にフレキシブルに対応し、自説を捨てて方向転換する勇気を、絶えず持たなければならない。
それが出来るのは、ここで云う女的男タイプの男性トレーダー、あるいは、男的女タイプの女性トレーダーのみである。
すなわち、トレーダーは、かすかな「プライド」と明確な現実主義をもって臨機応変に市場に向わなければならない。腕力と恫喝、哀願と憐れみは為替市場には全く役に立たないのである。(日本トーマスモアコンサルティング社 板垣哲史)
このレポートは投資判断の参考となる情報の提供を目的として作成されたもので、投資誘導を目的としたものではございません。
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