バリュー株相場への転換の兆候と相場の節目

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小野田慎氏のコラム。株式、為替、コモディティ相場のトレンドや、今後想定されるシナリオと投資戦略。eワラントはもちろん、他の金融商品を使った投資戦術などをお届けします。

盛者必衰の理をあらわす。これは『平家物語』の有名なフレーズですが、盛んな者もいつかは衰えゆくことを指したものです。2008年のリーマンショック以降の相場をけん引してきた「盛者」であるグロース(成長)株もいよいよ「必衰」となってしまうのかもしれません。最近の米ナスダックの下落を見ると、グロース株優位の相場からバリュー(割安)株優位の相場への転換点に来ている可能性があります。過去の転換点では転換後に相場の暴落を伴っていました。

グロース株とバリュー株

グロース株とは将来の成長性が期待される銘柄であり、売買を伴う人気銘柄となることがあります。また、EPSやPBRなどで見ると割高なケースが多いのが特徴です。バリュー株とはEPSやPBRなどで見た場合にグロース株と比べて相対的に割安とされる銘柄です。長期的にはグロース株が優位な相場とバリュー株が優位な相場があるとされ、グロース株やバリュー株で構成された株価指数によってその動向を見ることができます。

このような株価指数はスタイルインデックスと呼ばれており、株式を運用するプロのファンドマネージャーの運用スタイルや銘柄選定能力を評価するのに利用されています。例えば、運用資産を増やしている株式のファンドマネージャーがいたとします。このファンドマネージャーを評価するには、グロース株が得意、バリュー株が得意などといった運用スタイルを勘案して評価します。もし、運用株式のほとんどがグロース株である場合、グロース株指数を上回っていれば優秀とされ、下回っていれば資産を増やしていても、グロース株が優位な相場に乗っているだけであり、銘柄選定能力は低い、と評価されることになります。

米国にはラッセル1000指数という株価指数があります。この株価指数のスタイルインデックスとして、グロース株で構成されるラッセル1000グロース指数、バリュー株で構成されるラッセル1000バリュー指数があります。5月末時点でラッセル1000グロース指数の上位構成銘柄は、アップル、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブック、アルファベットであり、対してラッセル1000バリュー指数の上位構成銘柄はエクソン・モービル、バークシャー・ハサウェイ、JPモルガン・チェース、ジョンソン&ジョンソン、AT&Tとなっています。図1は1995年5月から2017年7月(7月は3日まで)の各指数の推移です。
20170707value1

グロース・バリューの転換点が相場の節目になる?

最近の米国株式市場では、ダウ平均が堅調であってもナスダック指数が下げているということがありました。ナスダック指数にはハイテク関連のグロース株が多いので、グロース株が売られているということに他なりません。これまでの相場がグロース株優位だったのか、バリュー株優位だったのかを見るには図1からは分かりにくいと思います。そこで図1と同じ期間で、ラッセル1000グロース指数とラッセル1000バリュー指数それぞれについて、ラッセル1000指数を上回る超過収益率を計算し、1995年5月末を100として累積指数化したのが図2です。
20170707value2

ラッセル1000グロース指数がラッセル1000指数を超過する傾向にあった時期をグロース株優位、ラッセル1000バリュー指数がラッセル1000指数を超過する傾向にあった時期をバリュー株優位とすると、2000年まではグロース株優位、2000年から2007年まではバリュー株優位、2007年から現在に至るまでグロース株優位となっています。

また、図2からはグロース株優位とバリュー株優位の転換が発生すると、その後相場全体が大きく下落していたことも分かります。

なお、ラッセル1000指数は米国株の株価指数ですが、日本株を対象とするスタイルインデックスではラッセル野村日本株インデックス、大和日本株インデックスがあり、日本株においても同様の現象は見られます。

バリュー株優位の相場への転換に備える投資アイディア

相場をけん引してきた「盛者」であったハイテク株などのグロース株の下落と、自動車や銀行といった出遅れ株の上昇は、グロース株優位の相場からバリュー株優位の相場へのスタイル転換の兆候と言えるかもしれません。スタイル転換を前提とする場合、物色先はグロース株ではなくバリュー株としたうえで、同時に相場全体の下落に備える方法として次のアイディアがあります。

<市場全体の下落リスクを排除して、バリュー株が市場を超過する部分を抽出する>
・バリュー株の現物買い+日経平均マイナス3倍トラッカーの買い
・バリュー株のコール型eワラントの買い+日経平均マイナス3倍トラッカーの買い

<グロース株が市場を下回る部分、バリュー株が市場を超過する部分をどちらも狙う>
・グロース株を対象としたプット型eワラントの買い+バリュー株のコール型eワラントの買い
・韓国200種指数を対象としたプット型eワラントの買い+バリュー株のコール型eワラントの買い

本稿執筆時点における日本のバリュー株でeワラントのコール型の対象になっているのは、銀行株ではみずほFG(8411)、三井住友FG(8316)、三菱UFJ FG(8306)、保険株では第一生命HD(8750)、東京海上HD(8766)、自動車株ではトヨタ自動車(7203)、マツダ(7261)、日産自動車(7201)、ホンダ(7267)、商社株では三井物産(8031)、三菱商事(8058)などがあります。米国株ではエクソンモービル、JPモルガン・チェースがあります。

一方でグロース株でeワラントのプット型の対象になっているのは、ブイ・テクノロジー(7717)、日本ライフライン(7575)、ファーストリテイリング(9983)、LINE(3938)、東京エレクトロン(8035)、カカクコム(2371)、日本電産(6594)、ディスコ(6146)、アルバック(6728)、キーエンス(6861)などがあります。米国株ではアップル、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブック、アルファベットなどがあります。なお、韓国200種指数はサムスンが3割弱の構成比となっておりハイテク関連指数とも言えますので、世界的なグロース株優位の相場が転換するのであれば、韓国200種指数も弱含むものと考えられます。

また、保有期間が中長期となる場合は、コール型eワラントは権利行使価格が相場を下回っている銘柄を、プット型eワラントは権利行使価格が相場を上回っている銘柄を選択するのが理想的です。このような状態の銘柄は時間経過による目減りの影響が相対的に小さいためです。なお、日経平均マイナス3倍トラッカーは時間経過による目減りはありませんので、中長期的に下落に備えたい、という場合に有効です。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。


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