米国ローン、延滞に長期化の兆し

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小野田慎氏のコラム。株式、為替、コモディティ相場のトレンドや、今後想定されるシナリオと投資戦略。eワラントはもちろん、他の金融商品を使った投資戦術などをお届けします。

2008年の金融危機から8年が過ぎ株価も高値圏にありますが、米国経済に不安の芽が出てきました。2008年の金融危機は2007年から2008年に表面化した、サブプライムローンとよばれる債務返済能力の低い層(サブプライム)向けのローンの焦げ付きが引き金と考えられます。現在の米国のローンの返済状況を見てみると、少しずつ延滞が増えてきています。

ローン延滞の長期化は株価に先行?

図1はニューヨーク連銀が公表している米国の家計におけるローンの延滞率の推移です。延滞の長さごとに色分けしています。一般に、景気が良ければ延滞日数も短くなり、景気が悪化すれば収入減少からローン返済が難しくなるので延滞日数も長くなると考えられます。

図中では2009年第4四半期に最も延滞率が高くなっていますが、12%近くが30日以上延滞しているという極めて異常な状況でした。一方株価は延滞率のピークを付ける前に下落を始めています。NYダウは2007年10月に高値を付けて2009年3月まで下落基調が続きました。

短期の延滞の場合は、延滞の意思がなくても何らかの理由で返済ができなかった可能性もありえます。そこで90日以上の延滞、つまり図中の「90日以上の延滞」、「120日以上の延滞」、「債務不履行」に注目してみると、2006年第3四半期から割合が増加していることが分かります。株価は景気の先行指数と呼ばれますが、延滞率をよく見てみると株価が高値を付ける前にローン市場ではその兆候が出ていたと考えられます。

ひるがえって現在ではどうなっているかというと、2016年第4四半期から90日以上の延滞の割合が増加していることが分かります。延滞割合の低下が止まり、2006年第3四半期の状況に似てきた印象があります。

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。
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自動車ローンとクレジットカードの返済は既に悪化傾向

図2はローンの種類別に90日以上の延滞となった割合の推移です。サブプライムローン問題は住宅ローンばかりに注目されがちですが、2006年を見るとモーゲージ・ローン、いわゆる住宅関連のローンだけでなく自動車ローンやクレジットカードの返済においても延滞が発生しており、モーゲージ・ローンの延滞よりも若干早く延滞に変調が生じていたことが分かります。

現在においては自動車ローンは既に2014年から90日以上の延滞割合が増えていることが分かります。家計が自動車ローンの返済に苦労しているなかで新車を買うことは難しいと思われ、低迷している最近の米国の新車販売台数と整合的です。2016年後半からはクレジットカードで延滞割合が増えてきています。クレジットカードは小売売上高に関連すると考えられますので、今後米国の小売売上高の低迷も表面化していくものと考えられます。
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10年前と何が違う?

図3はローンの種類別に90日以上の延滞となった金額を2007年第1四半期と2017年第1四半期で比較したものです。一番金額が大きいのはモーゲージ・ローン、いわゆる住宅関連のローンです。2007年に比べて2017年ではモーゲージ・ローンの延滞金額が小さくなっていますが、2008年の金融危機の教訓から、債務返済能力の低い層への貸し出しを抑制しているためと考えられます。モーゲージ・ローンの延滞割合はまだ高まっていませんが、2006年以降の再現となれば今後自動車ローン、クレジットカードに続いて上昇していく可能性も考えられます。仮にモーゲージ・ローンで延滞の割合が増えますと、金額の大きさから、米国経済へのインパクトも大きくなると考えられます。

モーゲージ・ローンに加えてもう1つ不安なのが学生ローンです。図2において2004年以来一貫して学生ローンは延滞割合が増加しています。図3にあるように2007年にはあまり注目されていなかった学生ローンの90日以上の延滞額ですが、2017年にはモーゲージ・ローンに次ぐ規模にまで膨れ上がっています。学生ローンの焦げ付きによって学生ローン債権を保有する金融機関や、学生ローンの債権回収会社の業績悪化につながる可能性があります。さらに、若い世代が学生ローンの返済で経済的に苦境に陥ると、住宅や自動車などの購入に資金が向かわなくなるため、将来の米国経済の成長力を低下させることになるかもしれません。
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投資に活かすなら

今年後半に米国経済が減速するシナリオを前提とするのであればNYダウや米国の金融株のプット型eワラントを保有を考えます。この場合、短期的な下落ではなく、長期的な下落を見込むことになりますので、権利行使価格は高め、満期までの期間は長めの銘柄を選択するのが良いでしょう。

銘柄例
ダウ・ジョーンズ工業株価平均 プット 第313回(権利行使価格21,000ドル、2018年2月14日満期)
ダウ・ジョーンズ工業株価平均 プット 第310回(権利行使価格21,000ドル、2017年12月13日満期)
JPモルガン・チェース プット 第6回 (権利行使価格88ドル、2017年12月13日満期)

なお、コール型eワラントとプット型eワラントは時間経過による目減り(いわゆる時間的価値の減少)がありますので、時間経過で目減りのないトラッカー型eワラントを活用する方法もあります。米国の経済減速が明らかとなれば日本株も影響を受けると見られますので、日経平均株価を対象としたマイナス3倍トラッカーを活用します。

銘柄例
日経平均マイナス3倍トラッカー 第27回(権利行使価格21,000円、2017年9月13日満期)
日経平均マイナス3倍トラッカー 第26回(権利行使価格20,000円、2017年9月13日満期)

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)
※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。


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