下落が続く中国人民元とハンセン指数の投資戦略

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小野田慎氏のコラム。株式、為替、コモディティ相場のトレンドや、今後想定されるシナリオと投資戦略。eワラントはもちろん、他の金融商品を使った投資戦術などをお届けします。

米中貿易摩擦がエスカレートしているなか、今週発表された中国の製造業PMIは14ヵ月ぶりの低水準となりました。また、人民元も約15ヵ月ぶりの水準に下落しており、中国の株価指数が伸び悩んでいることなどから中国リスクが再び意識されそうです。本稿では中国の経済状況を概観し、今後の投資戦略について紹介しています。

2015年の人民元切り上げ後を振り返る

中国の経済動向を考える上で外せないのは2015年8月11日の人民元切下げです。図1は2015年から2018年9月4日までの人民元対米ドル相場とハンセン指数の推移です。ハンセン指数は香港証券取引所に上場している主要50銘柄を対象とする株価指数です。

2015年当時、中国は資本流出や米国の利上げなどによって、株安と人民元の下落圧力に悩まされており、中国の金融当局は人民元買いと外貨売りの為替介入によって人民元相場を安定させようとしていたと思われます。しかし、為替介入に伴い外貨準備が減少したことから、為替介入だけでは人民元を安定させることは難しいと考えたのか、8月11日に突然、人民元切下げを発表し、世界の株価指数は大きく下落して反応しました。

その後も中国からの資本流出や人民元安の基調は変わらず、中国の外貨準備高の減少も続きました。図2は中国の外貨準備高の推移です(データが取得可能な2015年6月からとなっています)。外貨準備高の減少が止まり、増加に転じたのが2017年2月です。ほぼ同時期に人民元対米ドル相場も人民元安から人民元高に転じています。株価は人民元安による輸出促進効果によって2016年には底を打ち、2017年まで上昇局面にありました(図1)。

人民元安は続くのか?それとも?

図3は今年の人民元対米ドル相場とハンセン指数の推移です。今年に入ってからは米中貿易摩擦懸念から中国株は冴えない値動きとなり、4月に人民元が下落し始め、6月に入ると米国のトランプ政権による対中関税の発動観測によって人民元安がより顕著になりました。株価もレンジの底を抜けた格好となっています。米国の対中関税は7月6日に第1弾(340億ドル)、8月23日に第2弾(160億ドル)、そして9月には第3弾として2,000億相当の中国製品を対象とする制裁関税を発動すると見られています。

しかし、8月下旬、具体的には8月15日の人民元対米ドル相場6.933米ドルを境に人民元高基調になっています。6.933米ドルは2017年1月11日以来の人民元安水準であり、対中関税がさらに発動されることを考慮すると人民元安がさらに進んでも良さそうですが、人民元安にストップが掛かった格好です。ほぼ同時期に株価も反発しています。

この理由は明らかではありませんが、中国の金融当局が6.9~7.0米ドルを防衛ラインとして為替介入をしている?と想像もできそうです。しかし、図2にあるように8月の外貨準備高は7月と比べて大きく変動しておらず、大規模な為替介入はなかったのかもしれません。むしろ中国の株価指数と米国の株価指数の乖離について市場関係者の間で話題になっていたことを踏まえると、中国株に見直し買いが入り、それに伴って人民元買いが発生したのかもしれません。

今後については、米国による対中追加関税や今週発表された中国の製造業PMIの悪化を踏まえると、中国経済のファンダメンタルズは良いとは言えず、一時的に中国株が反発しても売り圧力が掛かることが考えられます。この点からハンセン指数やハンセンH株指数(H株指数は香港上場の中国本土企業で構成)を対象とするプット型eワラントの買いに妙味があるかもしれません。目安として、例えば実効ギアリング(ワラントレバレッジ)で-10倍とあるプット型eワラントなら株価が-1%となれば-1%×-10倍=10%ほどの値動きが期待できます(時間経過による影響や売買価格差(スプレッド)を考慮していませんので、あくまでも目安です)。

リスクとしては中国の金融当局が為替介入をすることによって人民元相場を買い支えることになりますが、中国株が上昇した日にプットを買う、いわゆる戻り売りのような形でプット型eワラントを買うことでこのリスクを減らせるかもしれません。保有期間については1回の取引で1週間程度とし、1週間後に売却したら再度買付のタイミングを狙う、という戦術が有効かと思われます。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

※本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。


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