12月の「“掉尾の一振”で株高」を検証してみる

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小野田慎氏のコラム。株式、為替、コモディティ相場のトレンドや、今後想定されるシナリオと投資戦略。eワラントはもちろん、他の金融商品を使った投資戦術などをお届けします。

10月相場も後半に入り年末が近づいてきました。相場展望として12月に株高となる、いわゆる“掉尾の一振(とうびのいっしん)”が期待できる、といったものを多く聞きます。確かに過去10年を振り返ると12月に株高となることは多かったのですが、それは偶然だった可能性があります。

“掉尾の一振”となった過去10年

“掉尾の一振”とは年末にかけて株高となる現象を指す株式相場用語の1つです。特に根拠はありませんが、株高で終わる年のほうが縁起が良いということなのかもしれません。ただし、「“掉尾の一振”で年末は株高」と見聞きしたとき、それは統計的な事象なのか、それとも発言者の“単なる願望”なのかには注意したほうが良いでしょう。投資資金を“単なる願望”を根拠にリスクにさらすわけにはいかないからです。そこで実際のデータで調べてみました。表1は1998年から2018年(2018年10月は16日まで)の日経平均株価の月次変動率を表にしたものです。縦軸に年、横軸には月を配置しています。

「“掉尾の一振”で年末は株高」と言う場合、過去何十年分のサンプルデータを統計的に分析した上で言っている人は少数派かもしれません。おそらく直近の記憶や経験を根拠にしていることが多いのではないでしょうか。そこで表1のデータから、直近約10年分のデータをまとめたのが表2です。表2の標準偏差とは月次の変動率のばらつきの度合いです。数値が大きいほうが数値のばらつきが大きいことを示します。P値は全体(2008年から2018年10月)と比べて平均値に差がないことを棄却できる確率を示しています。つまり、P値が低いほど特異なデータと言える傾向があるということです。

表2を見ると12月の平均値も他の月よりも高く、P値は他の月より低いので、これだけを見ると「“掉尾の一振”で年末は株高」と言えそうです。

より長期を見ると別の結果に?

残念ながら表2だけを見ても統計的に「“掉尾の一振”で年末は株高」とは言えません。サンプルデータが少なすぎるからです。12月は2008年、2009年、2010年・・・2017年と10個のデータしかありません。P値にしても1月も低いですし、8月も低いので12月が特異な月とは言えません。また、P値の水準も統計的には5%を下回る水準は欲しいところです。そこでより長い期間、1998年以降で見てみたのが表3です。

 

表3で見ると12月は特異な月とは言えません。むしろ11月の方が平均値は高く、標準偏差は低くなっており、P値も低くなっています。この結果からは「“掉尾の一振”で年末は株高」は統計的に確認された事象ではなく、むしろ11月の方が株高になる可能性は高いかもしれない、と言うことです。ただし、表3の11月と12月のデータ数は20個にしかすぎないので、偶然性を排除することはできないことには注意が必要です。

結局は相場を観察することが大切

統計的に精緻に分析するのであれば図3よりも長いデータで分析するというのも一案ですが、日本の産業構造や市場参加者の構成などに変化が生じており、長期のデータで分析するのが必ずしも正しいとは言えないと考えられます。ただ、「“掉尾の一振”で年末は株高」というのは統計的な事象として説明できるものではないので、投資判断においてはノイズと言えるものです。投資の最終判断は自分自身で行うことになりますから、結局は相場を観察してタイミングを判断することが大切になるでしょう。

普段なかなか相場を観察することが難しい方でしたら、1日1回、日足のパラボリックというテクニカル指標でトレンドを確認するのでも十分でしょう。図1は日経平均株価とパラボリックのチャートです。パラボリックはチャートの下側に出ていれば上昇トレンド、上側に出ていれば下落トレンドを示します。上昇トレンドにあればコール型eワラント、下落トレンドにあればプット型eワラントで相場に乗ることを検討されてみてはいかがでしょう。

(eワラント証券 投資情報室長 小野田 慎)

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。


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