内閣支持率その2:海外投資家売買動向への影響 (2015/08/03)

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土居雅紹のコラム。株式、為替、コモディティ相場のトレンドや、今後想定されるシナリオと投資戦略。eワラントはもちろん、他の金融商品を使った投資戦術などをお届けします。

内閣支持率その2:海外投資家売買動向への影響 (2015/08/03)

前回のコラムで内閣支持率とTOPIXとの関係がはっきりしなかったので、引き続き調べてみました。その結果、内閣支持率が海外投資家売買動向には明らかに影響を与えていることが分かりました。内閣支持率→海外投資家売買動向→株価という影響の経路と、昨今の外人フローの存在感の大きさを考えれば、投資判断の材料として国内投資家も従来以上に内閣支持率を意識すると思われます。

外国人投資家の立場で考えれば内閣支持率は投資の拠り所

例えば日本国内からインド株に投資しようと考えた場合、現在のようなビジネス推進派のモディ政権で国民の支持率が高い状況であれば安心して投資ができるでしょう。一方、経済発展に後ろ向きで教条主義的な政権でかつ政治的な基盤が脆弱な状況では、他の投資対象国に目が行くことになります。

インドネシアやフィリピンでも同様で、政治基盤が安定的で経済発展を志向しているリーダーの方が、かつての不安定な政治状況よりも、我々が“外国人”としてそれらの国への株式を含めた投資全般に好材料となります。

そうであれば、日本の政権が安定せず、政策はあっちへフラフラ、こっちへフラフラ、対外的に約束しても実行できず、政府見解も二転三転というような状況では、外国人投資家が日本経済に楽観的な見通しを持つことはできません。この際、日本語を理解できて日本のニュースからの情報が潤沢であったり、日本国内にいて多くの情報を得られる立場にいたりするような外国人投資家はごく少数と考えられます。多くは英語ニュースに頼り、世界各国の重大ニュースに埋もれて、日本の政治状況は“なんとなく理解している”だけとなります。

となると、数値として発表される内閣支持率は極めて重要で、それを日本株の投資判断の際に重視しているとしても不思議ではありません。

まして、外国人投資家の日本株市場の存在感は大きく、売買フローで東証一部銘柄の6割程度も占めるようになっているので、内閣支持率が外国人による日本株投資額に影響を与え、結果として株価も左右している可能性があります。

doi-20150803-1

図1は2005年1月からの内閣支持率と海外投資家売買動向を示したものです。これを見ると、内閣支持率と外人フローが概ね一致した動きをしていることが見てとれます。ときおりA点やB点のように内閣支持率が低いままでも日本株買いの外人フローが急増している局面があります。しかし、A、Bともに国内外で政権交代必至と考えられていた時期なので、内閣支持率急上昇を先取りした動きといえそうです。

そこで、内閣支持率が海外投資家売買動向に及ぼす影響を統計的に調べてみたところ、説明力は高いとはいえないものの、内閣支持率が1%増減するとその月の外人のネット売買金額が約139億円同じ方向に増減するということが分かりました(99%信頼度で有意)。

内閣支持率のクセ

内閣支持率を投資シグナルとして使うことを考える際には、「跳ね上がって、ジリジリ下げる」といったこの数値の“クセ”も考慮する必要がありそうです。まとめると、下記のようなものがありそうです。

・内閣支持率は新政権発足時はたいていの場合は急上昇する
・どの政権でも内閣支持率は次第に下がっていく
・一度下がった内閣支持率が再び上昇トレンドに戻ることはほとんどない
・40%割れした内閣支持率が回復した直近の事例は2002年の小泉内閣(北朝鮮訪問で拉致問題に進展)と2010年の菅内閣(党内総裁選で失地挽回)のみ

これらを考慮した上で、「内閣支持率が1%減るとその月の外人のネット売買金額が約139億円減る」という傾向が今後も続くとするなら、「新内閣発足=高内閣支持率なら日本株は買い」、「内閣支持率低下とともに外人の日本株買いフローは減るので、売りシグナルする水準を決めておく」という投資戦略が使えそうです。

内閣支持率41%近辺が重要?

「各月上旬に発表される内閣支持率を見て、一定水準を上回ったら2週間ほど先の当月末の価格でTOPIXに連動する投資を行い、一定水準を上回っている期間は投資を継続、下回っていればやはり2週ほど先の当月末に売却する」という実現が容易な中長期投資戦略を前提に、最適な内閣支持率の水準を探ってみました(注:売買手数料、税金、配当金は考慮していません。また前回コラムの試算前提とは異なります)。

図2は2005年1月から2015年6月までの期間試算結果です。緑の点線で囲んだ部分が、内閣支持率30%から43%の範囲でおしなべてパフォーマンスが良く、そのうち最も良かったのが41%でした。ところが内閣支持率が32%以下まで頑張ってしまうと、ガクンと投資パフォーマンスは低下します。また、45%を超えるような高い内閣支持率のときに手仕舞ってしまうと、これも投資機会を逸してしまうことになっているようです。

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図3は内閣支持率20%、29%、41%を例にとって、TOPIXと比較した投資パフォーマンスを内閣支持率の推移とともに示したものです。これを見ると、内閣支持率41%を投資シグナルとした場合の高パフォーマンスが見てとれると同時に29%でもまだ遅くは無いということも分かります。ただし、20%では既に大きく下がってしまった後となるようです。

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これからの投資を考える際には、安倍政権の2015年7月の内閣支持率が上述の売りシグナルの41%に低下していることが気がかりといえます。とはいえ、安倍政権が「安保法制を上手く乗り切り、小泉政権のように外交で華々しい成果をあげて内閣支持率が急回復し、外国人の日本株買いも再び増える」と考えるのであれば、来月の内閣支持率回復を確認した上で、日経平均プラス5倍トラッカー19回(満期:2016年4月13日)の買いや株価指数ミニ先物の買いも一案かもしれません。

一方、「一旦41%以下割れした内閣支持率が戻ることはまずない」と予想するのであれば、日本株のロングポジションを手仕舞うとともに、日経平均マイナス3倍トラッカー18回(満期:2016年4月13日)の買いなどを考えても良いといえるでしょう。

(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 チーフ・オペレーティング・オフィサー 土居雅紹(どい まさつぐ)


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