10月末は日米英でリスクイベントが発生

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10月30日から31日にかけては大きな相場イベントが集中しています。日本と米国ではそれぞれ金融政策の決定会合が開催されます。FRB(米連邦準備制度理事会)が更なる利下げにまい進するのか、また世界的に政策金利の引き下げが進む中で日銀がどのような対応をとるのかに注目が集まりそうです。

また、31日には英国のEUからの離脱期限を迎えます。合意なき離脱の可能性も高まる中で、英国やEUがどのような結論を下すのかに注目が集まります。本稿では各イベントで想定されるシナリオと投資戦略について紹介しています。

FOMC(29~30日)、パウエル議長記者会見]
定例のFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されます。日本時間では31日の午前3時頃にFF金利の誘導目標など会合の内容が発表される予定です。

9月に行われた前回会合では、市場の予想通り、FF金利の誘導目標を0.25%引き下げ、1.75%~2.00%とすることを決定しました。経済見通しが悪化する中で、「予防的に」対応をとった形です。これは、7月に続いて2会合連続となる利下げとなりました。

今回の会合では、3度目の利下げが行われるかどうかに注目が集まりそうです。3度目の実施となれば、過去2回の「予防的な利下げ」から「本格的な利下げ局面入り」が想起され、相場にも大きな影響を与えるかもしれません。

9月の同会合で示された、委員会メンバーによるFF金利の誘導目標見通し(ドット・チャート)における2019年末の金利見通しの中央値は1.875%と現在の水準とほぼ同程度となっています。この点を考慮すると、今回の会合で3度目の利下げが行われる可能性は低いようにも見えます。

また、FRBの2つの法的使命(デュアル・マンデート)である「最大限の雇用」と「物価の安定」の面から現在の米国経済を見てみると、インフレ率は物価安定目標の2%をわずかに下回る状況が続いている(9月の消費者物価指数 (前年同月比) は1.7%増)ものの、9月の失業率が史上最低水準の3.5%となるなど好調な雇用環境が続いています。この点からも、積極的な利上げの動機にはならないように見えます。

一方で、市場は10月の利下げを織り込みつつあります。図1は10月1日と10月15日において金利先物取引に織り込まれている10月のFOMCにおける米国の政策金利の予想です。

現在の政策金利は1.75~2.00%です。10月15日時点では金融市場において10月のFOMCで1.5%~1.75%となる、つまり0.25%の利下げが行われる確率は73.8%と月初から徐々に上昇してきています。

背景としては、10月8日に行われた講演において、FRBが3回の利下げによって景気拡大を持続させることに成功した1990年代の例(1995年、1998年)を取り上げたことが挙げられます。もし現代のFRBが過去の例を参考に政策運営を行っていくのだとすれば、10月の追加利下げも視野に入ってくるでしょう。

投資戦略を考える上で2会合続けて利下げが行われた7月、9月のFOMC前後の株価のダウ平均の動きを見てみると、利下げの織り込みが進んだ会合の少し前に株価は高値をつけ、時期に差はありますが会合後はいずれも下落に転じていることがわかります。

FOMCのシナリオとしては、10月の利下げを徐々に市場が織り込んで行くことを前提とした上で、①10月に市場の予想通り利下げが行われること、②予想に反して利下げが行われないことの2つのシナリオが考えられますが、失望売りが予想される②のケースに加えて、①のケースでも過去2回の経験を踏まえると株価の下落の可能性があります。

以上を踏まえると、FOMCの少し前まではダウ平均を対象とするコール型eワラントの買い持ちが有効かもしれません。一方で、FOMCで利下げ又は政策金利の据え置きのどちらが発表されても株価は下落する可能性がありますので3月30日の取引時間中にダウ平均を対象とするプット型eワラントを買付けておき、株価の下落に備えるという投資戦略も考えられます。

日銀金融政策決定会合(30~31日)、黒田総裁記者会見

FRBに加え、ECB(欧州中央銀行)や各国の中銀が緩和姿勢の強化を打ち出す中、日銀はこれまでのところ金融政策を維持しています。ただし、前回会合終了後の記者会見で、7月の会合時と比べて、追加緩和に前向きな姿勢であることを明らかにしています。今回の会合では、前回の発言を踏まえて、何らかの政策変更がなされるかに注目が集まりそうです。

仮に政策変更が行われるとすると、日銀がとりうる手段としては以下のようなものが挙げられます。

1)短期政策金利の引き下げ=マイナス金利の深堀り
2)長期金利目標の引き下げ
3)国債買い入れの増額
4)ETF購入の増額
5)フォワード・ガイダンスの変更

その中でも市場の話題の中心となっているのが、マイナス金利の深堀りですが、導入時点で目に見えて大きな効果が見られなかった点に加え、既にマイナス金利下で収益力を失いつつある金融機関からの反発を呼びかねず、現状で実現は難しいと考えられます。

また、ETF購入についても導入当初は株価に一定の効果が認められていましたが、導入から時間が経つにつれ効果は薄れている印象があります。また、ETFと言う形をとっているとはいえ、中央銀行が民間企業の株を大量に買いつけることには統制上の懸念もあります。

以上の点を考慮すると、今回の金融政策決定会合では政策変更はなし又はあったとしても小幅な変更に留まることがメインシナリオとして考えられそうです。日銀の緩和期待からか、米ドル対円相場は10月以降やや円安に推移していますが、材料出尽くしで売られる可能性もあります。投資に活かすのであれば、31日より前に米ドルを対象とするプット型eワラントを買い付けておくことなどが戦略として考えられそうです。

英国のEU離脱期限(10/31)

英国のEU離脱期限となる10月31日が近づいてきました。残る期間のうちに合意がなされて離脱を迎えるのか、合意なき離脱の道を歩むのか、それとも再び期限を延長し合意の道を模索するのか予断を許さない状況が続いています。これから発表されるニュースは注意して見ておく必要があるでしょう。

ブレグジットを巡っては、9月に成立した離脱延期法により、ジョンソン首相は10月19日までに離脱協定案に合意できなかった場合、2020年1月末までの離脱期限延期をEUに求めることを義務付けられています。本稿執筆時点(10月16日時点)では、まだ協定案に合意したとの報道は出ていませんが、ここ数日のうちに大きく動きがあるかもしれません。

離脱協定案に合意できるか、できないかは英ポンド相場を大きく動かす可能性があります。具体的には、19日までに合意できた場合は大きく英ポンド高となる可能性がありますが、合意できなかった場合には逆にポンド安が見込まれます。

もし、本稿をご覧になったのが19日よりも前で、まだ離脱協定案に合意がなされていない状況であれば、英ポンドを対象とするコール型eワラント又はプット型eワラントを買付けておき、相場の上下どちらかを予想してハイリスク・ハイリターンの投資をしてみるのも一手です。コールとプットを両方買いつけておき、相場の方向性ではなく大変動に投資をする方法もあります。
(参考)2016年のブレグジット国民投票と両建て戦略の振り返り

逆に、本稿をご覧になったのが19日より後で、離脱協定案に合意できていなかった場合は、英国は合意なき離脱を迎えるか、離脱期限の延期をEUに求めることになります。直近の英ポンド相場の上昇が離脱協定合意への期待を反映しているとすれば、いずれの場合でも英ポンドへの下押し圧力となるかもしれません。その際には、英ポンドを対象とするプット型eワラントに投資妙味がありそうです。

(eワラント証券 投資情報室長 多田 幸大)

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。


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