イラン情勢悪化の可能性も?21日はイラン議会選挙

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2020年の株式市場は、中東の地政学リスクの高まりにともなう混乱とともに幕を開けましたが、その混乱をもたらした問題が再び高まるかもしれません。2月21日にイランでは議会選挙が予定されており、欧米に強気な姿勢を示す「強硬派」の議席拡大が予想されることがその要因です。本稿では21日の選挙を巡る状況を簡単に振り返るとともに、選挙をイベントと捉えた投資戦略について検討します。

米国‐イラン関係は悪化
オバマ政権下で米国は他の国連常任理事国及びドイツと協調して、イランとの間で核開発の制限などを定めた内容に合意し(イラン核合意)、その見返りとして2016年1月よりイラン産原油の禁輸を含む経済制裁が解除されました。2002年から続くイランの核開発問題が解決し、中東の地政学リスクが大きく後退することとなりました。

しかし、2018年5月にトランプ大統領は核合意からの離脱を決定し、同年11月よりイラン産原油の輸入を禁じる経済制裁を再開、日本を含む協力国にも協調を強いています。これに対し、イランは核開発の再開をもって対抗しています。すでに核兵器に用いるウランの濃縮を再開するなど、核合意で定められた制限を超過する行為を行っています。

さらに、2020年初に米国軍がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を空爆で殺害、その報復としてイランが在イラク米軍基地を攻撃したことで、米-イラン関係は最悪を迎え、開戦の可能性も囁かれるところとなりました。米軍に殺害されたソレイマニ司令官は米国側からするとテロ組織に影響がある危険人物ではありますが、イラン国民からはイラン・イラク戦争などで活躍した国民的英雄とみなされているようです。経済制裁による困窮と英雄を奪われた悲しみから、イラン国民の反米感情が高まっていると考えられます。

イランの選挙制度と現在の状況
イランでは政党の果たす役割は大きくなく、近しい考えをもつ勢力が超党派の協力関係のもと議会運営を行うことが一般的です。大きく分けると保守派と改革派に分けることができますが、保守派の中でも欧米との関係を重視する保守穏健派と反欧米を掲げる保守強硬派とでは大きく立場が異なります。

現在のイラン議会は、穏健派のロウハニ大統領を支持する保守穏健派・改革派連合が多数派を担っています。前回(2016年)の選挙では、イラン核合意が成立し、経済制裁が解除された直後に行われたこともあり、核合意成立に主導的な立場を担ったロウハニ大統領への支持が集まったことが穏健派・改革派連合の勝利の要因となりました。

しかしながら、前述のとおり、米国が核合意を離脱し、経済制裁が再開されたことで国民生活が困窮している現在においては、ロウハニ大統領への批判が強まっていると考えられます。加えて、年初の事件に伴う反米感情の高まりが保守強硬派への投票をより一層促すことになりそうです。

また、イラン議会の選挙に立候補するためには、イスラム法学者などによって構成される護憲評議会の事前審査に合格する必要がありますが、その護憲評議会のメンバーは最高指導者によって選ばれます。現在の最高指導者であるハメネイ師は強硬派に近い立場と見られており、事前審査の段階でもハメネイ師の思惑が働くことになりそうです。既に失格となった候補の中には穏健派や改革派の現職議員も含まれているようです。イラン独特の選挙制度が議会の右傾化を加速させる可能性も否定できません。

緊張関係は深まるか
21日に予定されているイランの議会選挙で保守強硬派が圧勝するようであれば、イラン国内の反米感情は極限まで達していると考えられます。

イラクの米軍基地への報復攻撃(1/7)以降、イラン側は表立った攻撃を控えてはいますが、民意を受けて再び大規模な軍事作戦へと移行せざるを得なくなるかもしれません。また、イラン軍からの直接の攻撃はなくとも、イランに近い立場の武装勢力の活動が活発化する可能性があると考えられます。

中東の地政学リスクが再び意識されるようであれば、リスクオフの動きが強まるかもしれません。具体的には、安全資産である円や金が上昇し、リスク性資産である株式などの価格が下落することが想定されます。また、中東が主な生産地でもある原油相場が急騰する可能性もあるでしょう。

ただ、年初がそうであったように、仮にリスクオフとなった場合でも長期化はしないことも想定しておくべきでしょう。短期的に上昇・下落したタイミングを戻り売り・押し目買いのスタンスで投資を考えるほうがうまくいくかもしれません。

(eワラント証券 投資情報室長 多田 幸大)

* 本稿は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。本稿の内容は将来の投資成果を保証するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。


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