大イベントは両建てポジションで臨む(2016/06/06)

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土居雅紹のコラム。株式、為替、コモディティ相場のトレンドや、今後想定されるシナリオと投資戦略。eワラントはもちろん、他の金融商品を使った投資戦術などをお届けします。

大イベントは両建てポジションで臨む(2016/06/06)

今年は数年に一度の大イベント続きの年です。こういう局面では、相場が上がるか下がるかだけを予想してポジションを採る投資手法では、「どちらに動くか分からない!」という状況では手も足も出ないか、根拠の薄いギャンブルになってしまいます。そこでオプショナリティを活かした両建て投資で、「大イベントをチャンスに変えてガッチリ!」を目指しましょう。

■オプショナリティがある投資とは?

オプショナリティがある投資とは、相場が上がった場合と下がった場合の損益が同額ではない投資のことを言います。たとえば、A社株を500円で購入した場合、50円上がって550円になれば50円のプラス、50円下がって450円になれば50円のマイナスなので、資産価格が逆方向に動いた場合の損得の絶対値は同じ(方向は逆)になります。この場合、オプショナリティはありません。

もっとも単純にオプショナリティがあるといえるのはオプションの買い持ち戦略です。A社株を500円で買う権利(コール)を10円で購入したら、オプションの満期まで保有した場合の最大損失は10円です。このときA社株が300円でも200円でも、場合によっては破綻して0円になっても損失は10円だけです。逆に満期日にA社株が600円になっていれば500円との差額100円から購入コスト10円を引いた90円が利益になります。利益と損失が非対称的なので、相場が大きく動けば普通に株式を保有していた場合に比べて、利益が大きくなるか損失を小さく抑えることができる点が有利になり、それをオプショナリティがあると言うわけです。また、上がると利益が期待できるコールと、下がると利益が期待できるプットを組み合わせて、どちらでもいいから相場が大きく動けば儲かる両建てポジションにしても、オプショナリティがある投資になります。

図1はオプショナリティの有無のイメージです。普通の投資でリターンを得るには、相場がどちらかに動くか正しく予想することが必要です。現物株や信用取引での買いポジションは株価が上昇することを前提としていますし、株価指数先物をショートすれば相場が下がらなければ儲かりません。

一方、オプショナリティがある投資では相場がどちらかに大きく動けばメリットを享受できます。eワラントの買いやオプションの買いでは、予想した方向と同じなら利益が期待できますし、逆なら同程度のリスクを現物株で採っていた場合に比較して損失を抑えることができます。このメリットは相場が大きく動けば動くほど大きくなります。「損が小さいなんてメリットじゃない!」と思うなら、コールとプットを両建てにすれば、動かないと損失が出るものの大きく動けば利益が期待できる両建てポジションが簡単に構築できます。

なお、同じオプション戦略でも、上場オプションなどを用いたオプションの売り(ショート)ポジションはオプショナリティが逆方向に作用します。このため、大イベント前のポジションとしては極めてマズいポジションになってしまうので注意が必要です。

doi-20160606-1

■銘柄選びのポイントは旅行保険と同じ?

大イベントに備えてオプショナリティがある投資ポジションを構築する場合、銘柄選びのポイントは旅行保険の選び方に似ています。旅行保険は「入るつもりだったけど契約が成立していなかった」では困りますし、保険でカバーされる対象を細かく吟味するよりもざっくりでも対策を採ることの方が重要です。また、旅行保険が有効となる期間は旅行に出かける日数にぴったり合わせるはずで、旅行から戻っても保険契約を継続する必要はありません。具体的には以下の4項目をしっかり押さえれば銘柄選びは意外に簡単です。

◎流動性:両建ての場合は時差なく同時にポジションを構築することが必須
eワラントを順張りのレバレッジ投資手段として用いるなら、現在のeワラント価格よりもかなり低い価格に指値注文を入れ、マーケットが一瞬動いたタイミングで購入する場合も少なくありません。しかし、プットとコールを同時に購入してポジションを構築する場合には、片方だけ約定してもう片方は執行中のままでは両建てになりません。また、プットとコールを同時に現在の価格よりも安く購入するというのは、同日中だとまず不可能です(どちらかが上がればどちらかが下がる)。このため欲張った指値は禁物で、同時に約定させることを最優先する必要があります。

◎対象原資産:大イベントなら為替か株価指数、OPECがらみは原油
大イベントで相場全体が動くと考えるなら、その構成要素である個別株も大きく動くことが予想されます。しかし、個別企業ではその時だけ個別のニュースがあったり、大口投資家の売買で需給が歪んだりすることがあるので、大イベントに備えた投資ポジションとしてはやや難があります。このため、大イベントに備えるのであれば、海外のイベントなら米ドル/円相場かNYダウなど、海外のイベントでもOPEC総会であれば原油相場(WTI原油かBrent原油)、国内イベントであれば日経平均かTOPIXを対象としたeワラントだけを利用した方がよさそうです。

◎満期までの残存期間:できるだけ短く、低コストに
数週間程度の投資に用いるなら満期までの残存期間が長くレバレッジが低いeワラントやレバレッジトラッカーが一般に好まるようです。一方、大イベントに備えて両建て投資を行ったり、保険代わりにプットを短期間だけ購入したりする場合には、大イベント直前に満期日までの残存期間が短い銘柄を購入して保険料に相当するポジション保有コストを抑えた方が、全体としての投資パフォーマンスが向上すると考えられます。イベント終了後に、損益にかかわらず即座に手仕舞うことは大前提です。

◎権利行使価格:現水準に近いものが基本。両建てなら同じ程度の価格を目安に
旅行保険の免責金額に相当すると考えられるのが権利行使価格です。両建て投資の場合は、現在のスポット価格の水準に近いものを組み合わせるのが基本です。出来上がりのポジションを満期日まで保有した場合のペイオフは図2のようになり、オプション戦略ではロング・ストラドルと呼ばれます(名前は仰々しいのですが、単なるコールとプットの両建てです)。

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なお、残存期間が同じで現在のスポット価格に近い同じ権利行使価格のコールとプットが存在しない場合には、次善の策としてちょっと離れた権利行使価格の両建てポジションを構築します。まず、満期日が同じ(または極めて近い)コールとプットで、権利行使価格がスポットに近い銘柄を探して、両建てします。このとき、1ワラントあたりの原資産数が同じであれば、コールとプットの価格が同程度になっているはずです。価格に大きな違いがあれば残存期間の差が大きすぎるとか、片方が原資産のスポット価格から離れすぎていることになるので、“正しい”両建てポジションになっていない可能性があります。できあがりのポジションを満期まで保有した場合のペイオフのイメージは図3のようになります。

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■大イベント攻略のポイント

今後数ヶ月には下記のような大イベントが目白押しです。どう出るか予想がつきにくく、その結果で相場が大きく動くと考えられるイベントほど、買いや売りのみの戦略ではポジションを採るのが難しくなります。一方、オプショナリティを活かした両建て投資を用いれば、数年に一度のまたとない「ガッチリチャンス!」にできる可能性があります。また、積極的に両建てポジションを採らないとしても、一部だけでもプットで保険をかける投資法を用いれば、擬似的な両建てポジションが簡単に構築できます。

◎今後のイベントと両建て対象として注目すべき原資産(例)
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■オプショナリティを活かした投資を実践するなら

 大イベント前では、楽観的に買いポジションを採ったり、信用取引を組み合わせて損失が出たら保有資金では足りなくなってしまう程の過大なリスクを採ってしまったり、逆にすべて手仕舞って完全にリスクオフとしてチャンスとして活用できなかったりしがちです(図4)。

 一方、オプショナリティを活かせば①株式保有を継続しながらプットを購入してポジションの一部に保険をかけたり、②基本はリスクオフポジションとしながら両建てポジションで大イベント後の急騰・急落に投資することも可能となります。どの程度リスクを残して、どうオプショナリティを活かすか考えれば、大イベントが待ち遠しくなるかもしれません。

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(念のため付言しますと、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではありません。)
eワラント証券 チーフ・オペレーティング・オフィサー 土居雅紹(どい まさつぐ)


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