☆ポンド急騰、保守党と自由民主党の連立政権は維持だが・・・=英総選挙
- 2015/5/8
- 佐藤りゅうじブログ

選挙って怖いものだ。蓋を開けてみないとホントわからない。
・保守党躍進
今回の英総選挙、世論調査は与党保守党が改選前の302議席から280議席前後まで議席を減らし、連立のパートナーの自由民主党は、改選前の56議席からほぼ半減となる25-6議席しか獲得できないと予想されていた。その結果、保守・自由民主党での連立政権では、過半数の323議席を確保できず、最大野党労働党を中心とした、内閣が誕生するとの見方が強かった。
・連立与党の大勝ではない
しかし、ふたを開けてみると、出口調査では保守党がなんと316議席を獲得、あと一歩で単独過半数だった。ただ、連立相手の自由民主党はわずか10議席の見込みと、改選前の56議席から大幅に議席を減らしそうだ。両党合わせて、326議席。キャメロン政権の大勝のように伝えるメディアもあるが、改選前の連立与党の議席数358からみれば、大幅に減少し、過半数の323議席をわずかに上回ったというのが事実だろう。
・ポンド暴騰
今回の総選挙では、最大野党の労働党とスコットランド民族党の連立政権の可能性も高いとみられていただけに、親ビジネスに一番近い保守党の勝利ということで、為替市場では出口調査が発表された日本時間の午前6時過ぎからポンドが暴騰した。ポンド・ドルは6時の1.5245ドルから一時1.5498ドルまで上昇(253pips)、ポンド・円は182.51円から184.91円(240pips)まで水準を引き上げている。両通貨とも今年最大級の上げ幅だ。
・目先的には上値いっぱいか
ただポンド・ドルが1.55ドル台で上値を抑えられると、目先的には、上値いっぱいの感がある。1.55ドル台は、2月26日、4月29日にも上値を抑えられており、ポンド・ドルにとっては鬼門の価格帯だ。今夜は米雇用統計があるので、同統計次第の展開となろうが、ポンド・ドルの過去20日間の一日の平均値幅が149ポイント、上値を追って買うのはちょっと怖い。
・中長期的にはネガティブな材料
さて、保守党が政権を取ったということで忘れていけないのが、同党は公約に「2017年までに英国のEUからの離脱(Brexit)を問う国民投票」を実施することを掲げていることだ。これはポンドにとってはネガティブな材料になる。この秋くらいから、この話題が徐々に相場にも効いてくるとみる。また、同じタイミングで米国が利上げなんてことになれば、金融市場は混乱しそうだ。そして、もうひとつ忘れてはいけないのが、スコットランド民族党の大躍進だ。改選前の6議席から58議席に議席を増やしそうだ。独立運動再燃かもね?
※当記事の内容は、執筆者の個人的な意見、見解であり、エイチスクエア株式会社としての見解ではありません。