逆イールドって何?
- 2022/4/9
- 経済データBOX

債券の利回り(金利)と償還期間(満期までの期間)の相関性を示したグラフを、利回り曲線(イールドカーブ)といいます。
一般的に、長期債券が短期債券よりもリスクが高いため、長期債券の利回りが短期債券の利回りよりも高くなるため、イールドカーブの形状が右肩上がりとなり、この状態を順イールドと呼びます。一方、逆イールドとは、短期利回りが長期利回りの水準を上回る状態(長短金利の逆転現象)、イールドカーブの形状が右肩下がりの状態を指します。
また、カーブの形状がスティープ化(長短金利差が拡大)すると、通常は景気拡大の予兆とされます。逆に、カーブの形状がフラット化(長短金利差が縮小)すると、景気減速の予兆と捉えられます。
米債券市場では長短金利の逆転現象が生じると、将来のリセッション(景気後退)の兆候とされます。短期金利は目先の金融政策の動向に大きく左右される一方、5年や10年といった長期金利は将来の経済や物価、金融政策を巡る市場の予想を反映されるからです。
米国では1980年以降、6回のリセッション局面がありました。この期間の米10年国債利回りと米2年国債利回りの動きを確認すると、そのいずれも、リセッション局面を迎える前に逆イールドが発生しています。このため、現在のカーブの形状がリセッションの前振れなのかに注目が集まっているようです。
現在の短期の米国債利回りは、FRB(米連邦準備制度理事会)が連続利上げを行うとの予想から急上昇しています。一方、長期の国債利回りは、金融引き締めによる景気圧迫への懸念で上昇度合は緩やかで、イールドカーブはフラット化、4月1日と2日には10年国債利回りと2年国債利回りは逆イールドとなりました。
ただ、最近のフラット化や逆イールドは、過去2年間のFRBの債券買い入れプログラムによって長期国債の利回りの水準を押し下げているために発生したとの見方もあります。FRBがバランスシートを縮小し始めると、イールドカーブがスティープ化するとの見方につながり、現状がリセッションの前振れかどうかに思惑を巡らせているようです。
なお、今月6日に公表された3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨では、保有資産を最大で月950億ドル圧縮する方針でおおむね合意していたことが明らかにされました。
新型コロナウイルスのパンデミックに対する景気刺激策で、20年春に大規模な債券買い入れプログラムを開始し、現在、総額で9兆ドル規模まで膨らんだバランスシートの縮小に関しては、早ければ来月から国債を月600億ドル、MBS(住宅ローン担保証券)は月350億ドルを上限に削減することでおおむね合意し、3カ月ないし、やや長い期間をかけて段階的に実施するとの認識でおおむね一致したとしています。