米中古住宅販売件数はコロナ前を上回る水準、結果は…
- 2022/4/20
- 経済データBOX

日本時間20日午後11時30分に3月の米中古住宅販売件数が発表されます。大方の予想は、577万件に減少するとみられています。
住宅ローン金利の上昇や住宅市場指数の低下など住宅市場のセンチメントの悪化が示されています。また、中古住宅在庫水準は過去最低水準にあるほか、住宅在庫供給月数も健全な需給バランスを示す6~7カ月を大幅に下回る過去最低水準にあり、旺盛な需要に対して供給が滞る状況が続いています。供給制約と高価格で購入意欲が削がれ、販売件数の減少は続きそうです。
ただ、販売件数はコロナ前の水準を上回る状態が続いているため、予想以上の減少が示されない限り、ドル売り材料視され難いとみられます。逆にサプライズとなればドル買いが強まりそうです。
結果次第では、株式市場ではiBuyer事業でシェアを拡大してきた不動産テックのGAFA的存在、「ZORC」と呼ばれるジローグループ(Z)、オープンドア(OPEN)、レッドフィン(RDFN)、コンパス(COMP)などに注目が集まりそうです。
◆米中古住宅販売件数(Existing Home Sales)とは
該当月に所有権の移転が完了した中古住宅の販売件数を、米不動産業者協会(NAR)が発表するものです。景気動向に対して先行性が高いと言われていますが、所有権移転完了ベースで集計されるため、契約書への署名ベースで集計される新築住宅販売件数のほうがより先行性が高いとされています。
ただし、新築住宅市場よりも中古住宅市場は規模が大きいため、住宅関連の指標としてはもっとも注目度が高いとも言えます。住宅の取得は、家具や家電製品、日用品などの買い替えにつながるため、景気全体への影響も大きいと考えられています。
歴史を振り返ると、住宅販売はつねに経済回復のカギを握っています。戦後の不況期をみると、いずれも住宅販売が経済回復の主要な推進力となってきました。不況になると、金利が下がりますが、金利が下がると人々はローンを組みやすくなり、購買意欲が高まってきます。そして、住宅を購入すると、家具や家電なども購入する流れに繋がり、経済のあらゆるところに波及していきます。ただ、2008年の住宅バブル崩壊以降は、住宅販売の経済回復に対する有効性は疑問視されるようになっています。
中古住宅販売件数のデータには、販売件数のほか、在庫や平均的な販売価格も含まれます。そして、中古住宅販売件数が回復基調にあるか否かを判断するには、現在のペースで住宅が売れ続けたと仮定した場合、現在の在庫が何カ月で全て売れるかを表した住宅在庫供給月数(在庫件数÷販売件数)に注目します。供給月数が短い場合、住宅市場は上向き、景気も良くなっていると考えられます。逆に供給月数が長い場合、住宅市場が落ち込み、景気が悪化しつつあると考えられます。なお、健全な需給パランスは6~7カ月と言われています。
リリース日:https://www.nar.realtor/newsroom/nar-releases-its-2022-statistical-forecast-news-release-schedule