米インフレはピークか? CPIの結果は…
- 2022/5/11
- 経済データBOX

日本時間11日21時30分に4月の米消費者物価指数が発表されます。CPI総合の大方の予想は前月比0.2%上昇、前年比8.1%上昇、CPIコアは前月比0.4%上昇、前年比6.0%上昇となっています。引き続き、物価上昇圧力が強いことが示されそうですが、伸びは前回から鈍化が見込まれています。
ただ、米ガソリン価格の高騰や米国各州で鳥インフルエンザが確認(https://www.aphis.usda.gov/aphis/ourfocus/animalhealth/animal-disease-information/avian/avian-influenza/hpai-2022)されている状況が続いており、鶏卵製品価格の高止まりも警戒されます。予想よりも伸びが鈍化しなければ、米利回りの上昇やドル買いとなる場面も見られそうです。一方、大幅な伸びの鈍化が示された場合は、3月にインフレがピークを付けたとの証明と捉えられそうで、今回の結果には注目が集まっています。
◆前回は…
3月の消費者物価指数は、CPI総合が前月比1.2%上昇(事前予想1.2%上昇)、前年比8.5%上昇(同8.4%上昇)、CPIコアが前月比0.3%上昇(同0.5%上昇)、前年比6.5%上昇(同6.6%上昇)となりました。前年比ベースではCPI総合が1981年12月以来、CPIコアが1982年8月以来の高い伸びとなりました。
同発表を受けて、債券市場では米10年債利回りが前日の2.78%から2.73%へ低下、株式市場ではCPIコアが事前予想を下回ったことで過度のインフレ懸念が後退し、上昇する場面がみられました。また、為替市場ではドルが高値から反落し、ドル円は125.50円レベルから124.76円レベルまで下落する局面がありました。
品目別を前年比ベースでみますと、食料品が8.8%上昇、ガソリンは48.0%上昇と伸びが加速しました。財では中古車・トラックが35.3%上昇と伸びが鈍化した一方、サービスでは住居費が5.0%上昇と引き続き高い伸びを示し、航空運賃も23.6%上昇と大きく伸びました。
◆米消費者物価指数(CPI-Consumer Price Index)の見方は…
都市部の一般消費者が購入する商品(財)とサービスの総合的な価格の動きを指数化したものをCPI-U(Consumer Price Index for All Urban Consumers)と呼び、全人口の80%以上をカバーしています。ウエイト(2年ごとに改定)付けされた品目毎に1982-84年の価格(=100)と比較した指数を米国労働省労働統計局(US Bureau of Labor Statistics)が毎月中旬に発表しています。
また、CPI-W(Consumer Price Index for Urban Wage Earners and Clerical Workers)と呼ばれるものは、賃金労働者と事務職従事者の消費支出構成比を基準に算出したもので、賃金交渉や社会保障などの物価スライドの基準値として利用されています。
一般的に、マスコミなどでいうCPIは、CPI-Uを指します。
CPIはインフレに関する最重要経済指標です。同指数は、食品13.4%、エネルギー7.4%、財21.8%、サービス57.4%で構成され、変動の大きい食品・エネルギーを除いたCPI全体の約8割を占めるコア指数は、物価変動の基調をみるうえで特に注目されます。
なお、財とサービスの内訳項目は、財が家庭用品・家具、衣料品、輸送品、医療品、娯楽用品、教育・通信商品、アルコール飲料、その他財です。サービスは、住居、上下水道・ゴミ収集サービス、家事サービス、医療サービス、輸送サービス、娯楽サービス、教育・通信サービス、その他サービスとなっています。
こうした項目やセクター別など掘り下げた指数に着目すると、物価変動の要因が需要サイド、または供給サイドで起きているのか測ることができます。
リリース日:https://www.bls.gov/schedule/news_release/cpi.htm