生産者サイドでも伸びが鈍化するか?
- 2022/5/12
- 経済データBOX

日本時間12日21時30分に4月の米生産者物価指数が発表されます。PPI(最終需要)の大方の予想は前月比0.5%上昇、前年比10.7%上昇、変動の大きい食品とエネルギーを除いたPPIコアは前月比0.6%上昇、前年比8.9%上昇となっています。
前日に発表された米消費者物価指数(CPI)と同様に、前月から伸びの鈍化が見込まれています。ただ、インフレの早期収束を裏付ける内容とはならず、前月と同様にCPIの内容を補強する結果になるとの見方が大勢を占めています。同結果を受けて、為替市場は米金利の動向に左右される展開が続きそうです。
◆前回は…
3月の生産者物価指数は、PPI(最終需要)が前月比1.4%上昇となり、改訂があった以降で最大の伸びとなりました。また、前年比では11.2%上昇と過去最大の伸びが示され、初期のインフレ圧力が根強く続いていることが示されました。
PPIコアは、前月比1.0%上昇(事前予想0.5%上昇)、前年比9.2%上昇(8.4%上昇)となり、前月比、前年比とも市場予想を上振れしましたが、材料出尽くし感や米経済低迷への警戒感から米債利回りは低下し、ドルは上値の重い展開となりました。
◆米生産者物価指数(PPI-Producer Price Index)の見方は…
米生産者物価指数とは、米国労働省労働統計局(US Bureau of Labor Statistics:BLS)が米国製造業者の販売価格の動向を測定・算出した物価指数です。国内製造業者の約1万品目における販売価格を示します。生産フローに準拠し、最終需要(Final Demand:FD)ステージと4つの中間需要(Intermediate Demand:ID)ステージに分類し、品目別・産業別の数値を毎月発表します。
なお、BLSは、現在のPPIのヘッドラインであるFD–ID型物価指数の作成に先立ち、1970年代末以降、財に関して、商品を「素原材料」、「中間財」、「最終財」に区分して集計化した物価指数体系である「Stage of Processing(SOP)」を用いていました。ただ、2010年代になって、PPIにおけるサービス部門のカバレッジが70%を超え、財と遜色ない水準になったことなどを背景に、財・サービスを統合し、需要段階を生産フローの点から分類したFD–ID型物価指数を構築しました。
消費者物価指数と同様、季節要因による変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されます。インフレ率の判断に用いられ、日本の「卸売物価指数」に近い指標となっていますが、卸売物価が輸送費、流通マージンを含むのに対し、生産者物価は生産者の出荷時点での価格を対象としているため、これらを含みません。
経済に何らかの動きがあった時に、最初に変化が現れるのは生産者側の物価といわれています。景気が悪いときには、生産者は生き残りをかけてコストを下げ、販売価格や賃金を引き下げます。逆に景気が良いときは、物価の上昇がそのまま消費者側に転嫁されます。
PPIが上昇傾向となった場合は、消費者レベルでのインフレが間近に迫っていることを意味し、物価上昇の最初のサインとして捉えられます。景気が停滞しているような時期であれば、生産者および小売店の利幅が小さくなっていることを指しているときもあります。逆にPPIが下落傾向となった場合は、景気悪化によるものや製造過程での効率アップによるコスト引き下げなど、インフレよりも様々な要因が多くなるため、判断が難しくなります。
リリース日:https://www.bls.gov/schedule/news_release/cpi.htm