米住宅市場で販売急減リスク、住宅ローン金利は2009年以来の水準
- 2022/5/18
- 経済データBOX

日本時間18日21時30分に4月の米住宅着工件数と米住宅建築許可件数が発表されます。大方の予想は、着工件数が178万件、建築許可件数が183万件とそれぞれ減少することが見込まれています。
米30年物住宅ローン固定金利は5.30%(5月12日時点)と2009年7月以来の水準まで上昇しているほか、全米住宅建設業者協会(NAHB)が前日に発表した5月のNAHB住宅建設業者指数が69と2020年6月以来の低水準に軟化しました。販売の現況指数は78と2020年7月以来、向こう6カ月間の販売見通し指数は63と2020年5月以来、購買見込み客足指数は52と2020年6月以来とそろって大幅に悪化しています。
先月の住宅着工件数は予想外に増加し、2006年以来の高水準となりましたが、住宅建設で最も大きなシェアを占める一戸建て住宅の着工件数は120万件と減少しています。引き続き、住宅ローン金利の上昇が需要を圧迫させるほか、建設業者は資源価格の高騰や人件費高騰の問題などに直面しています。
同指標の発表を受けて、米株式市場では米国を代表する住宅建設会社のDRホートン(DHI)、プルトホームズやセンテックスなどが所属しているプルトグループ(PHM)、住宅ローンおよび商業用不動産ローンのオリジネーターでもある住宅建設業者のレナー(LEN)、一戸建て住宅や分譲マンションの建設・販売に従事するNVR(NVR)、エネルギー効率の高い機器や節水システムなど持続可能な材料の使用に重点を置いているKBホーム(KBH)、住宅購入者に質の高い住宅を提供しているホブナニアン(HOV)、多くの価格帯とデザインをカバーする高性能の「eSmart」ホームを提供しているビーザーホームズ(BZH)などが注目されそうです。
◆米住宅着工件数・米住宅建築許可件数とは
住宅着工件数(Housing Starts)は、月中に建設が開始された新築住宅戸数を示す統計で、一戸建て・集合住宅の区別、地域別(北東部、中西部、南部、西部)の区別で集計されて米商務省から発表されます。また、同時に発表される住宅建設許可件数(Building Permits)は、住宅の着工に先立ち地方自治体などに許可申請を行わなければならない地域での許可発行数を調査したものになります。
住宅建設には景気に連動したサイクルがあると言われます。一般的に、不況下では金利が安くなるため、ローン需要や住宅需要が増加します。それに伴って木材やレンガ、セメントなど住宅建築のための資材、家具や家電製品への波及効果が期待できるため、着工件数・建設許可件数が増え始めたら、経済全体がもうすぐ活気づいてくるサインとして捉えられます。一方、好景気の時には金利が高くなり、ローン需要が後退し、次第に住宅需要も減り、経済も下向きになるとみられます。この2つの指標は、件数および前月比の増減によって住宅投資の好不調を示しますほか、景気動向と密接な関連があり、景気の先行指標として注目されます。
なお、建設許可件数は住宅着工件数の先行指標となります。着工件数、建設許可件数ともに指標を見る際には、気候の変化や自然災害に左右されやすく、月次の変動が大きいため、地域別のデータの分析や3ヵ月程度の移動平均をとるなどの注意が必要と言われています。
発表元:https://www.census.gov/
リリース日:https://www.census.gov/econcards/calendar-listview.html