物議を醸したブログ、今夜のECB理事会で追認か
- 2022/6/9
- 経済データBOX

きょうのECB理事会に注目度が高まっています。この背景には、ECBが5月23日、ラガルド総裁名でHPに「Monetary policy normalisation in the euro area(ユーロ圏の金融政策正常化)」と題したブログを発表したことにあります。
そこでは、資産購入プログラム(APP)を7~9月期の非常に早い段階で終了し、7月の会合では利上げすることが可能、9月末にはマイナス金利も終了が可能といった前回の会合で明らかにされなかった内容が掲載されました。
つまり、ブログの内容を最高意思決定機関であるECB理事会が追認するという常識では考えにくい構図で、市場では7月と9月の会合で0.25%の利上げを実施することを事前通告したと受け止められています。
なお、今回は政策金利の据え置きが決定される見込みで、注目点はラガルド総裁の会見となります。そこで、利上げペースや大幅利上げに対するヒントが示されるかどうかです。なお、5月のユーロ圏のインフレ率は8%台まで上昇しています。
◆ECB理事会とは
ECB理事会とは、ユーロ圏の統一的な金融政策を決める欧州中央銀行(European Central Bank)の最高意思決定機関です。政策金利決定を含む金融政策に関する理事会は6週間ごとに開催され、総裁、副総裁、4名の常任理事、19カ国の中銀総裁の計25名で構成されています。
ECBの主要金利は、主要リファイナンス・オペ金利(主要政策金利、ユーロシステムが定期的に行う公開市場操作において金融機関が入札可能な下限金利に相当、現在0.00%)、預金ファシリティ金利(金融機関が手元資金をオーバーナイトでECBに預け入れる際の金利、現在マイナス0.50%)、限界貸付ファシリティ金利(金融機関が急な資金需要が生じた際に、オーバーナイト資金をECBから借り入れる際の金利、現在0.25%)となります。
◆タカ派、ハト派とは
各国の金融政策を決める会議のメンバーに対して、「タカ派(hawk)」「ハト派(dove)」という言葉が良く聞かれます。一般的に、タカ派は景気安定よりも物価上昇の抑制を優先し、金融引き締め(利上げ)政策寄りの人です。一方、ハト派は物価上昇を警戒しつつ、景気に十分配慮する金融緩和(利下げ)政策寄りの人となります。
◆ECBボードメンバーの分布図(6月1日時点)
-タカ派-
ナーゲル(Nagel)ドイツ中銀総裁
ノット(Knot)オランダ中銀総裁
ホルツマン(Holzmann)オーストリア中銀総裁
ミュラー(Muller)エストニア中銀総裁
ウンシュ(Wunsch)ベルギー中銀総裁
バスレ(Vasle)スロベニア中銀総裁
カザークス(Kazaks)ラトビア中銀総裁
シュナーベル(Schnabel)ECB理事
デギンドス(de Guindos)ECB副総裁
ラガルド(Lagarde)ECB総裁
エルデルソン(Elderson)ECB理事
ビルロワドガロー(Villeroy)フランス中銀総裁
カジミール(Kazumir)スロバキア中銀総裁
-中立・不明-
レーン(Rehn)フィンランド中銀総裁
ライネシュ(Reinesch)ルクセンブルグ中銀総裁
シクルナ(Scicluna)マルタ中銀総裁
-ハト派-
パネッタ(Panetta)ECB理事
エルナンデス・デコス(Hernandez de Cos)スペイン中銀総裁
ストゥルナラス(Stournaras)ギリシャ中銀総裁
ヘロドトウ(Herodotou)キプロス中銀総裁
ビスコ(Visco)イタリア中銀総裁
シムカス(Simkus)リトアニア中銀総裁
レーン(Lane)ECB理事
マクルーフ(Makhlouf)アイルランド中銀総裁
センテノ(Centeno)ポルトガル中銀総裁
発表元:https://www.ecb.europa.eu/home/html/index.en.html
開催日:https://www.ecb.europa.eu/press/calendars/mgcgc/html/index.en.html