米インフレは高止まりか?
- 2022/6/10
- 経済データBOX

日本時間10日21時30分に5月の米消費者物価指数が発表されます。CPI総合の大方の予想は前月比0.6%上昇、前年比8.3%上昇、CPIコアは前月比0.4%上昇、前年比5.9%上昇となっています。コアは伸びが鈍化することが見込まれていますが、総合は前月比では伸び、前年比では高止まりとなることが見込まれています。
伸びの鈍化は、2021年4月から物価が急上昇したことで、比較する土台が高くなっている影響が大きいからと考えられます。ただ、前日には米ホワイトハウスが高水準のインフレ率を予想していることが報道されています。予想以上の伸びが示された場合、市場のファーストアクションが先月と同様となる可能性もありそうです。
◆前回は…
4月の消費者物価指数は、CPI総合が前月比0.3%上昇(事前予想0.2%上昇)、前年比8.3%上昇(同8.1%上昇)、CPIコアが前月比0.6%上昇(同0.4%上昇)、前年比6.2%上昇(同6.0%上昇)となりました。前年比ベースではCPI総合、CPIコアとも8カ月ぶりに伸びが鈍化しました。
同発表を受けて、債券市場では米10年債利回りが節目の3%を再び上回り、為替市場ではドルが買われ、ドル円は129円台後半から130.80円レベルへ急伸する場面がみられました。株式市場ではインフレ懸念から主要株価指数が年初来安値を更新しました。
品目別を前年比ベースでみますと、食料品が9.4%上昇と伸びが加速した一方、ガソリンは43.6%上昇と伸びが鈍化しました。財では中古車・トラックが22.7%上昇と伸びが鈍化した一方、サービスでは住居費が5.1%上昇と伸びがわずからながら加速し、航空運賃も33.3%上昇と引き続き大きな伸びが示されました。
◆米消費者物価指数(CPI-Consumer Price Index)の見方は…
都市部の一般消費者が購入する商品(財)とサービスの総合的な価格の動きを指数化したものをCPI-U(Consumer Price Index for All Urban Consumers)と呼び、全人口の80%以上をカバーしています。ウエイト(2年ごとに改定)付けされた品目毎に1982-84年の価格(=100)と比較した指数を米国労働省労働統計局(US Bureau of Labor Statistics)が毎月中旬に発表しています。
また、CPI-W(Consumer Price Index for Urban Wage Earners and Clerical Workers)と呼ばれるものは、賃金労働者と事務職従事者の消費支出構成比を基準に算出したもので、賃金交渉や社会保障などの物価スライドの基準値として利用されています。一般的に、マスコミなどでいうCPIは、CPI-Uを指します。
CPIはインフレに関する最重要経済指標です。同指数(1月時点)は、食品13.4%、エネルギー7.4%、財21.8%、サービス57.4%で構成され、変動の大きい食品・エネルギーを除いたCPI全体の約8割を占めるコア指数は、物価変動の基調をみるうえで特に注目されます。
なお、財とサービスの内訳項目は、財が家庭用品・家具、衣料品、輸送品、医療品、娯楽用品、教育・通信商品、アルコール飲料、その他財です。サービスは、住居、上下水道・ゴミ収集サービス、家事サービス、医療サービス、輸送サービス、娯楽サービス、教育・通信サービス、その他サービスとなっています。こうした項目やセクター別など掘り下げた指数に着目すると、物価変動の要因が需要サイド、または供給サイドで起きているのか測ることができます。
発表元:https://www.bls.gov/
リリース日:https://www.bls.gov/schedule/news_release/cpi.htm