注目のドットチャートとは
- 2022/6/14
- 経済データBOX

今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、ドットチャートが公表されます。米連邦準備制度理事会(FRB)は、毎年3・6・9・12月にFOMCメンバーによる米国経済と政策金利の見通しを公表し、その政策金利の見通しが「ドットチャート」と呼ばれ、メンバーが適切と考えるフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の水準を点(ドット)の分布で示したものになります。
FRBは「ドットチャートはあくまでFOMC参加者一人一人の金利の見通しに過ぎず、金融政策の意図を表明する基本的な手段はFOMCの声明である」としていますが、利上げ開始時期や利上げ回数など将来の政策金利の動きを予想するうえで、ドットチャートはひとつの判断材料となっているため、市場では大きな注目を集めています。
ドットチャートには、FOMC参加者が適切と考える今後3~4年間のFF金利の誘導目標水準がドットされ、より長期にわたる政策金利見通しは「Longer run、中立金利」という項目にドットされます。中立金利とは、景気を刺激・抑制しない中立的な金利を意味し、FRBは金融政策で中立金利と政策金利の距離を調整して、雇用の最大化と物価安定を図っています。
なお、FRBは2012年1月に「長期的なゴールと金融政策の戦略」という特別声明を出し、そのなかで「The inflation rate over the longer run is primarily determined by monetary policy, and hence the Committee has the ability to specify a longer-run goal for inflation.(インフレ率は、長期的には主に金融政策によって決められるので、FOMCはインフレ率の長期的なゴールを特定化することができる。)」としています。
下図は、2021年12月(青丸)と2022年3月(赤丸)に公表されたドットチャートを重ねたものになります。2021年12月時点では、2022年(中央値0.9)に3回、2023年(中央値1.6)に3回、2024年(中央値2.1)に2回の利上げが予想された状態でした。2022年3月時点では、2022年(中央値1.9)に7回、2023年(中央値2.8)に3.5回、2024年(中央値2.8)は0回の利上げと、利上げペースが加速していることが読み取れます。
FOMC開催日:https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomccalendars.htm
FRBボードメンバー:https://www.federalreserve.gov/aboutthefed/bios/board/default.htm