米住宅市場への逆風は続く
- 2022/6/24
- 経済データBOX

日本時間24日23時に5月の米新築住宅販売件数が発表されます。大方の予想は年率換算で59万3000件と前月からやや増加することが見込まれています。米MBA住宅ローン申請指数が過去2週間増加していることが背景にあると考えられます。
ただ、先週発表された6月のNAHB住宅建設業者指数が67と6カ月連続で低下し、2020年6月以来の低水準に軟化したほか、21日に発表された5月の中古住宅販売は4カ月連続で減少しています。また、フレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)が発表した30年物固定金利は23日時点で、平均5.81%と上昇が続いています。住宅価格の上昇とローン金利の上昇の逆風のなか、住宅を購入しにくい状況は続きそうです。
米国最大の住宅建設会社で新築建売住宅に強いレナー(LEN)や北アメリカ最大規模の林業、木材加工、販売などを手掛けるウェア―ハウザー(WY)などの株価に影響を与えそうです。
◆米新築住宅販売件数(New Home Sales)とは
米新築住宅販売件数とは、米国でひと月に販売された新築住宅の件数(売買契約が結ばれた時点の件数)で、米商務省調査局(U.S. Bureau of the Census)が全米及び4つの地域別(北東部、中西部、南部、西部)の販売件数や販売価格、在庫状況、在庫比率などを集計した数字を公表します。なお、土地付きの新築住宅販売が対象で、既に保有する土地へ住宅を新築した場合は含まれません。
住宅の購入に伴い、家具や家電などの耐久消費財が購入されることが多く、個人消費への波及効果が大きいです。また、建築資材需要などにより、関連産業への波及効果も加わるため、住宅関連指標は景気動向の先行指標として注目されます。なお、所有権移転完了ベースの中古住宅販売件数に対して、新築住宅販売件数は契約者が署名した時点で販売件数としてカウントされるため、先行指標として特に注目されています。
その月に多くの新築住宅が売れた場合、家の建築にかかわる業種が潤ってくることになります。作業員が雇われ、木材や屋根材、電気配線など多くの材料が発注されます。その材料は工場で製造され、運搬業者によって保管業者の倉庫に運ばれ、このようなサイクルがGDPに増加に繋がってくるわけです。新築住宅の販売件数が増加すると、そのあとの経済の伸びが期待できる一方、新築住宅の販売件数が減少すると、経済が悪化していくと考えられます。
また、家を購入する場合は、一般的にローンを組むケースが多いです。ローンを組むには安定的な収入が必要になりますので、中古住宅を含めて、住宅販売の伸びは雇用の安定に深く関連していると考えられています。
新築住宅販売件数の統計では、住宅販売の状況について詳細なデータをみることができます。これらのデータを統合すると、それぞれの住宅建築業者についてパフォーマンスを予測することが可能となり、地域と価格帯から住宅業者のなかでもどこが伸びてくるかを判断することが出来ます。新築住宅販売件数の伸びは建築業者だけではなく、家具メーカーや水道関連業者など広範に影響してくるほか、原木を供給する会社にも注目が集まりやすいです。
発表元:https://www.census.gov/
リリース日:https://www.census.gov/econcards/calendar-listview.html