米住宅市場は減速、今夜の中古住宅販売件数は?
- 2022/8/18
- 経済データBOX

日本時間18日23時に7月の米中古住宅販売件数が発表されます。大方の予想は、年率換算で489万件と6カ月連続で減少することが見込まれています。米住宅の需要低迷や在庫の増加傾向などから予想よりも下振れする可能性もありそうです。
15日に発表された8月の米NAHB住宅市場指数は49.0と8カ月連続で低下し、改善と悪化の分岐点である50を下回りました。また、16日に発表された7月の米住宅着工件数は予想以上の減少し、年率換算で144万6000件と2021年2月以来の低水準となっています。
建設資材や労働コストの高騰と高水準の住宅ローン金利が需要の低迷を招き、住宅在庫の増加が新たな建設活動の減少に繋がっているなど、米住宅市場の落ち込みは続いています。
ただ、米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の30年物住宅ローン金利は11日時点で5.22%と6月のピーク(5.81%)からは低下してきています。また、住宅建設業者による販売価格引き下げの動きも指摘されているなど、今後数カ月で幾らか安定する見方も出てきています。
◆米中古住宅販売件数(Existing Home Sales)とは
該当月に所有権の移転が完了した中古住宅の販売件数を、米不動産業者協会(NAR)が発表するものです。景気動向に対して先行性が高いと言われていますが、所有権移転完了ベースで集計されるため、契約書への署名ベースで集計される新築住宅販売件数のほうがより先行性が高いとされています。
ただし、新築住宅市場よりも中古住宅市場は規模が大きいため、住宅関連の指標としてはもっとも注目度が高いとも言えます。住宅の取得は、家具や家電製品、日用品などの買い替えにつながるため、景気全体への影響も大きいと考えられています。
歴史を振り返ると、住宅販売はつねに経済回復のカギを握っています。戦後の不況期をみると、いずれも住宅販売が経済回復の主要な推進力となってきました。不況になると、金利が下がりますが、金利が下がると人々はローンを組みやすくなり、購買意欲が高まってきます。そして、住宅を購入すると、家具や家電なども購入する流れに繋がり、経済のあらゆるところに波及していきます。ただ、2008年の住宅バブル崩壊以降は、住宅販売の経済回復に対する有効性は疑問視されるようになっています。
中古住宅販売件数のデータには、販売件数のほか、在庫や平均的な販売価格も含まれます。そして、中古住宅販売件数が回復基調にあるか否かを判断するには、現在のペースで住宅が売れ続けたと仮定した場合、現在の在庫が何カ月で全て売れるかを表した住宅在庫供給月数(在庫件数÷販売件数)に注目します。供給月数が短い場合、住宅市場は上向き、景気も良くなっていると考えられます。逆に供給月数が長い場合、住宅市場が落ち込み、景気が悪化しつつあると考えられます。なお、健全な需給パランスは6~7カ月と言われています。
発表元:https://www.nar.realtor/
リリース日:https://www.nar.realtor/newsroom/nar-releases-its-2022-statistical-forecast-news-release-schedule