米PPI、サービス価格にも注目
- 2022/9/14
- 経済データBOX

日本時間14日21時30分に8月の米生産者物価指数が発表されます。大方の予想では、PPI(最終需要)が前月比0.1%低下、前年比8.8%上昇、変動の大きい食品とエネルギーを除いたPPIコアが前月比0.3%上昇、前年比7.1%上昇となっています。
エネルギー価格の低下を反映して、基調的なインフレは鈍化傾向になるとみられていますが、一部では「前月のサービス価格の詳細には予想外に強い部分もある」と指摘されており、全体の約3分の2を占めるサービス価格も注目されそうです。
◆前回は…
7月の生産者物価指数は、PPI(最終需要)が前月比0.5%低下と市場予想(0.2%上昇)に反して、2020年4月以来、2年3カ月ぶりに低下しました。また、前年比は9.8%上昇となり、市場予想(10.4%上昇)を下回る伸びとなりました。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたPPIコアは、前月比0.2%上昇(市場予想0.4%上昇)、前年比7.6%上昇(同7.6%上昇)となりました。
同発表を受けて、ドル円は131.70円台へ軟化したあと、長期金利の上昇につれて、133円台前半へ上昇しました。
◆米生産者物価指数(PPI-Producer Price Index)の見方は…
米生産者物価指数とは、米国労働省労働統計局(US Bureau of Labor Statistics:BLS)が米国製造業者の販売価格の動向を測定・算出した物価指数です。国内製造業者の約1万品目における販売価格を示します。生産フローに準拠し、最終需要(Final Demand:FD)ステージと4つの中間需要(Intermediate Demand:ID)ステージに分類し、品目別・産業別の数値を毎月発表します。
なお、BLSは、現在のPPIのヘッドラインであるFD–ID型物価指数の作成に先立ち、1970年代末以降、財に関して、商品を「素原材料」、「中間財」、「最終財」に区分して集計化した物価指数体系である「Stage of Processing(SOP)」を用いていました。ただ、2010年代になって、PPIにおけるサービス部門のカバレッジが70%を超え、財と遜色ない水準になったことなどを背景に、財・サービスを統合し、需要段階を生産フローの点から分類したFD–ID型物価指数を構築しました。
消費者物価指数と同様、季節要因による変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されます。インフレ率の判断に用いられ、日本の「卸売物価指数」に近い指標となっていますが、卸売物価が輸送費、流通マージンを含むのに対し、生産者物価は生産者の出荷時点での価格を対象としているため、これらを含みません。
経済に何らかの動きがあった時に、最初に変化が現れるのは生産者側の物価といわれています。景気が悪いときには、生産者は生き残りをかけてコストを下げ、販売価格や賃金を引き下げます。逆に景気が良いときは、物価の上昇がそのまま消費者側に転嫁されます。
PPIが上昇傾向となった場合は、消費者レベルでのインフレが間近に迫っていることを意味し、物価上昇の最初のサインとして捉えられます。景気が停滞しているような時期であれば、生産者および小売店の利幅が小さくなっていることを指しているときもあります。逆にPPIが下落傾向となった場合は、景気悪化によるものや製造過程での効率アップによるコスト引き下げなど、インフレよりも様々な要因が多くなるため、判断が難しくなります。
発表元:https://www.bls.gov/
リリース日:https://www.bls.gov/schedule/news_release/ppi.htm