米小売売上高で消費意欲を探る
- 2022/9/15
- 経済データBOX

日本時間15日21時30分に8月の米小売売上高が発表されます。大方の予想では、前月比0.2%増、変動の大きい自動車を除いたコア指数は同0.1%増となっています。
米ガソリン価格の低下が続いていることで、消費者が他のカテゴリーに現金を回せるようになっているようです。ただ、賃金上昇の伸びの鈍化に加え、PCE統計では貯蓄率が5.0%と2009年8月以来の低水準となっていることで、貯蓄を取り崩す生活を余儀なくされている消費者も多く、こうした状況は消費回復の逆風となりそうです。
前月は、13業種中9業種の売上高が増加し、無店舗小売りが前月比2.7%増の1106億2400万ドル(寄与度プラス0.42ポイント)となった一方、自動車が同1.6%減の1249億4800万ドル(寄与度マイナス0.30ポイント)、ガソリンスタンドが同1.8%減の674億4000万ドル(寄与度マイナス0.18ポイント)となり、全体では前月から横ばいの6828億1500万ドルと市場予想(0.1%増)を下回りました。
無店舗小売りの売上増は、アマゾンのプライムデーが影響した可能性が指摘されています。一方、ガソリンスタンドの売上減は、米ガソリン価格が6月中旬に付けたピークから下落していることを反映した結果とみられます。
◆米小売売上高(Retail Trade and Food Services)の見方は…
GDPの約7割を個人消費が占める米国において、個人消費のトレンドを把握することができるため、米小売売上高は非常に重要な指標と言われています。百貨店やスーパーなどの小売業の売上高を、無作為に抽出した約5,000社を対象としたサンプル調査に基づき、米商務省調査局(U.S. Bureau of the Census)が推計・発表しています。
総合指数や変動の大きい自動車を除いたコア指数、項目別では自動車や電気製品、建設資材、ガソリンスタンド、総合小売店などの前月比と前年比、実額が発表されます。また、調査する対象は耐久財と非耐久財に⼤別され、GDPの個人消費支出の算出に使われているコア指数が注目されます。
実際に調査した⽉から2週間後に発表されるため、速報性が高く、景気の先⾏指標として捉えられます。小売売上高が前月比で増加すると、個人消費は堅調と判断できます。一方、前月比で減少すると、個人消費が落ち込んでいると判断されます。また、例年1⽉に発表される数値には、前年のクリスマス商戦の結果が反映され、最も消費が旺盛な時期の米国の消費者マインドをみるために特に注目が集まります。10⽉に発表される数値には、米国の学校の新学期である9⽉の情勢が反映されています。
ただ、月ごとの変動が大きいため、トレンドの見極めが難しく、修正が大きくなる場合もあります。また、インフレ率を調整していないため、投資判断が難しいとする見方もあります。
リリース日:https://www.census.gov/econcards/calendar-listview.html