住宅ローン金利の上昇が響く米住宅市場
- 2022/9/20
- 経済データBOX

日本時間20日21時30分に8月の米住宅着工件数と米住宅建築許可件数が発表されます。大方の予想は、着工件数が144.5万件とほぼ横ばい、建築許可件数が161万件と減少することが見込まれています。
米30年物住宅ローン固定金利は6.02%(9月15日時点)と2008年11月以来の水準まで上昇しているほか、全米住宅建設業者協会(NAHB)が前日に発表した9月のNAHB住宅建設業者指数が46と2020年5月以来の低水準に軟化しました。販売の現況指数は54、向こう6カ月間の販売見通し指数は46、購買見込み客足指数は31とそれぞれ2020年5月以来の水準に悪化しています。
高インフレ抑制のために米FRBが今週の会合で0.75%の利上げを実施すると見込まれているなか、金融引き締めに敏感な住宅市場は逆風にさらされる状況が続きそうです。
◆米住宅着工件数・米住宅建築許可件数とは
住宅着工件数(Housing Starts)は、月中に建設が開始された新築住宅戸数を示す統計で、一戸建て・集合住宅の区別、地域別(北東部、中西部、南部、西部)の区別で集計されて米商務省から発表されます。また、同時に発表される住宅建設許可件数(Building Permits)は、住宅の着工に先立ち地方自治体などに許可申請を行わなければならない地域での許可発行数を調査したものになります。
住宅建設には景気に連動したサイクルがあると言われます。一般的に、不況下では金利が安くなるため、ローン需要や住宅需要が増加します。それに伴って木材やレンガ、セメントなど住宅建築のための資材、家具や家電製品への波及効果が期待できるため、着工件数・建設許可件数が増え始めたら、経済全体がもうすぐ活気づいてくるサインとして捉えられます。一方、好景気の時には金利が高くなり、ローン需要が後退し、次第に住宅需要も減り、経済も下向きになるとみられます。この2つの指標は、件数および前月比の増減によって住宅投資の好不調を示しますほか、景気動向と密接な関連があり、景気の先行指標として注目されます。
なお、建設許可件数は住宅着工件数の先行指標となります。着工件数、建設許可件数ともに指標を見る際には、気候の変化や自然災害に左右されやすく、月次の変動が大きいため、地域別のデータの分析や3ヵ月程度の移動平均をとるなどの注意が必要と言われています。
発表元:https://www.census.gov/
リリース日:https://www.census.gov/econcards/calendar-listview.html