PCEデフレーター、焦点は12月の利上げ幅に
- 2022/10/28
- 経済データBOX

日本時間28日21時30分に9月の米個人所得・支出が発表されます。大方の予想では、個人所得が前月比0.3%増、個人消費支出が同0.4%増、PCEデフレーターは総合指数が前年比6.3%上昇、変動の大きい食品・エネルギーを除いたコア指数が前月比0.5%上昇、前年比5.2%上昇となっています。
13日に発表された9月の米消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前年比8.2%上昇と市場予想(8.1%上昇)を上回り、コアが同6.6%上昇と前月(6.3%上昇)から伸びが加速しました。今晩発表されるFRBが物価指標としているPCEデフレーターも来週(11月1~2日)のFOMCでの4会合連続での75bpの利上げを示唆する内容となりそうです。
なお、28日時点のFed Watchによると、来週のFOMCでの利上げ幅については、50bpの確率が11.5%、75bpの確率が88.5%となっています。そして、12月のFOMCでは利上げ幅を50bpへ縮小するとの観測が大勢を占めています。このため、PCEデフレーターが予想を上回る伸びとなった場合は、12月のFOMCでの利上げ幅縮小観測が後退しやすくなりそうです。
◆米個人所得・支出(Personal Income and Outlays)とは
米個人所得・支出とは、米商務省経済分析局(BEA:Bureau of Economic Analysis)が米国の個人の所得や消費について調査したもので、景気関連の経済指標です。
個人所得は、賃金・給与、賃貸収入、利子・配当金、政府からの移転収支などから社会保険料を控除したあとの個人が実際に受け取った金額です。一般的に、個人所得が高い時期は雇用環境も良好とみられ、雇用統計との連動性が高いと言われています。
個人支出は、自動車や家電製品などの耐久財支出、食品や衣料などの非耐久財支出、旅行や外食などのサービス支出の3つで構成されています。
また、同時に可処分所得や貯蓄率、個人が消費した財・サービスの物価動向を調査した個人消費支出(PCE:Personal Consumption Expenditures)デフレーターなども発表されます。なお、PCEコアデフレーターは、米消費者物価指数(CPI)より調査対象が広いこともあり、米連邦準備制度理事会(FRB)が最も重要視している物価指標です。
貯蓄するよりも消費した方が経済も回るといった論理からアメリカ人は貯蓄が苦手と言われますが、経済を支える底力となる貯蓄の動向を測ることが出来る数少ない指標の一つでもあります。ただ、人々の貯蓄を正確に記録したデータはなく、すべての国民の所得合計から消費の合計を差し引く方法で算出されています。所得金額、消費金額とも概算であるため、貯蓄率の水準ではなく、傾向を見ることで消費者の心理を知ることが出来ます。貯蓄が増加傾向ならば経済に不安を持っている人々が多く、貯蓄が減ってきたら人々は楽観的にお金を使っていると考えられています。
発表元:https://www.bea.gov/
リリース日:https://www.bea.gov/news/schedule