米中古住宅、販売件数は10カ月連続で減少見込み
- 2022/12/21
- 経済データBOX

日本時間21日24時に11月の米中古住宅販売件数が発表されます。大方の予想は、年率換算で420万件と10カ月連続で減少することが見込まれています。販売件数の減少傾向が続くなか、供給月数は3.3カ月と今年1月の1.6カ月から増加しており、引き続き中古住宅に対する需要が低下していることを示唆する結果となりそうです。
前日に発表された11月の米住宅着工件数は142.7万件と市場予想(140万件)は上回りましたが、住宅市場の大半を占める一戸建て住宅が82.8万件と前月(86.3万件)を下回り、2020年5月以来の低水準に落ち込んでいます。また、先行指標である住宅建設許可件数は134.2万件に減少したほか、一戸建て住宅の許可件数は78.1万件と急減し、高水準な住宅ローン金利を受けて住宅需要が低迷していることを示唆する結果となりました。
なお、米不動産業者協会(NAR)は13日、FRBの利上げに伴う住宅ローン金利の上昇や住宅価格高騰などから購買意欲を低下させ、2023年の中古住宅販売件数が478万件と2012年以来、11年ぶりの低水準になるとの予測を発表しています。また、2023年の販売価格(中央値)については38万5800ドルと高止まりし、特に南部の都市圏の販売価格が大きく上がると見込んでいます。
◆米中古住宅販売件数(Existing Home Sales)とは
該当月に所有権の移転が完了した中古住宅の販売件数を、米不動産業者協会(NAR)が発表するものです。景気動向に対して先行性が高いと言われていますが、所有権移転完了ベースで集計されるため、契約書への署名ベースで集計される新築住宅販売件数のほうがより先行性が高いとされています。
ただし、新築住宅市場よりも中古住宅市場は規模が大きいため、住宅関連の指標としてはもっとも注目度が高いとも言えます。住宅の取得は、家具や家電製品、日用品などの買い替えにつながるため、景気全体への影響も大きいと考えられています。
歴史を振り返ると、住宅販売はつねに経済回復のカギを握っています。戦後の不況期をみると、いずれも住宅販売が経済回復の主要な推進力となってきました。不況になると、金利が下がりますが、金利が下がると人々はローンを組みやすくなり、購買意欲が高まってきます。そして、住宅を購入すると、家具や家電なども購入する流れに繋がり、経済のあらゆるところに波及していきます。ただ、2008年の住宅バブル崩壊以降は、住宅販売の経済回復に対する有効性は疑問視されるようになっています。
中古住宅販売件数のデータには、販売件数のほか、在庫や平均的な販売価格も含まれます。そして、中古住宅販売件数が回復基調にあるか否かを判断するには、現在のペースで住宅が売れ続けたと仮定した場合、現在の在庫が何カ月で全て売れるかを表した住宅在庫供給月数(在庫件数÷販売件数)に注目します。供給月数が短い場合、住宅市場は上向き、景気も良くなっていると考えられます。逆に供給月数が長い場合、住宅市場が落ち込み、景気が悪化しつつあると考えられます。なお、健全な需給パランスは6~7カ月と言われています。
発表元:https://www.nar.realtor/
リリース日:https://www.nar.realtor/newsroom/nar-releases-2023-statistical-and-forecast-news-release-schedule