米CPI、さらにインフレ鈍化観測を強めるか
- 2023/1/12
- 経済データBOX

日本時間12日22時30分に12月の米消費者物価指数が発表されます。CPI総合の大方の予想は前月比変わらず、前年比6.5%上昇、CPIコアは前月比0.3%上昇、前年比5.7%上昇となっています。
前年比ベースでエネルギーや財の伸びが鈍化するなか、住居費の伸びが加速する構図となっています。ただ、米不動産情報データベースのアパートメントリストが4日に発表したレポートによると、米集合住宅家賃は4カ月連続で前月比で低下しており、住居費の伸びの鈍化につながる可能性もありそうです。また、全米ガソリン小売価格の低下も続いていますので、今晩のCPIはインフレ鈍化観測を強める結果が見込まれています。
◆前回は…
昨年12月13日に発表された11月の米消費者物価指数は、CPI総合が前月比0.1%上昇(事前予想0.3%上昇)、前年比7.1%上昇(同7.3%上昇)、CPIコアが前月比0.2%上昇(同0.3%上昇)、前年比6.0%上昇(同6.1%上昇)となりました。
品目別を前年比ベースでみますと、ガソリンが10.1%上昇と10月の17.5%上昇から大幅に伸びが鈍化し、食料品が10.7%上昇と3カ月連続で伸びが鈍化しました。一方、物価全体の3割程のウェートを占める住居費は7.1%上昇(10月は6.9%上昇)と引き続き伸びが加速しました。
予想以上に鈍化した同発表を受けて、債券高、ドル売り、株先物高の反応がみられました。137円半ばで推移していたドル円は、発表後に134円台後半まで急落し、ドルはユーロやポンドに対しても売られました。
◆米消費者物価指数(CPI-Consumer Price Index)の見方は…
都市部の一般消費者が購入する商品(財)とサービスの総合的な価格の動きを指数化したものをCPI-U(Consumer Price Index for All Urban Consumers)と呼び、全人口の80%以上をカバーしています。ウエイト(2年ごとに改定)付けされた品目毎に1982-84年の価格(=100)と比較した指数を米国労働省労働統計局(US Bureau of Labor Statistics)が毎月中旬に発表しています。
また、CPI-W(Consumer Price Index for Urban Wage Earners and Clerical Workers)と呼ばれるものは、賃金労働者と事務職従事者の消費支出構成比を基準に算出したもので、賃金交渉や社会保障などの物価スライドの基準値として利用されています。
一般的に、マスコミなどでいうCPIは、CPI-Uを指します。
CPIはインフレに関する最重要経済指標です。同指数(2022年1月時点)は、食品13.4%、エネルギー7.4%、財21.8%、サービス57.4%で構成され、変動の大きい食品・エネルギーを除いたCPI全体の約8割を占めるコア指数は、物価変動の基調をみるうえで特に注目されます。
なお、財とサービスの内訳項目は、財が家庭用品・家具、衣料品、輸送品、医療品、娯楽用品、教育・通信商品、アルコール飲料、その他財です。サービスは、住居、上下水道・ゴミ収集サービス、家事サービス、医療サービス、輸送サービス、娯楽サービス、教育・通信サービス、その他サービスとなっています。
こうした項目やセクター別など掘り下げた指数に着目すると、物価変動の要因が需要サイド、または供給サイドで起きているのか測ることができます。
発表元:https://www.bls.gov/
リリース日:https://www.bls.gov/schedule/news_release/cpi.htm