米雇用統計、50bpの利上げ観測を強めるか!
- 2023/3/10
- 経済データBOX

日本時間10日22時30分に2月の米雇用統計が発表されます。大方の予想は、失業率が3.4%、非農業部門雇用者数(NFP)の増減数が20.5万人増、平均時給が前月比0.3%増、前年比4.7%増となっています。
8日に発表された2月の米ADP雇用統計は、民間雇用者数が24.2万人増と市場予想(20万人増)を上回りました。雇用の伸びはサービス部門が19万人増とけん引し、特にレジャー・ホスピタリティー業が8.3万人増と大きかった一方、専門職・ビジネスサービス業が3.6万人減となりました。
また、同日に米労働省が発表した1月の米JOLT求人件数は1082.4万件と12月の1123.4万件から減少しましたが、市場予想(1054.6万件)は上回りました。前日に発表された米新規失業保険申請件数は前週比2.1万件増の21.1万件と20万件を上回りましたが、前週まで7週連続で20万件を下回っているなど、これまでの米雇用関連指標は概ね米労働市場がひっ迫していることを示唆しています。
今晩発表される米雇用統計が市場予想よりも強い結果となれば、次回(3月21~22日)FOMCでの0.50%の利上げ観測が強まりそうです。
◆米雇用統計(Current Employment Statistics)とは…
米国の経済指標のなかでも、特に重要視されている指標です。全米の企業や政府機関のサンプルを対象に、米国労働省労働統計局が調査し、失業率、非農業部門就業者数、建設業就業者数、製造業就業者数、小売業就業者数、金融機関就業者数、週労働時間、平均時給などの項目を発表します。なお、調査は失業率や労働参加率に関する一般家庭向け(TableA Household data)と非農業部門雇用者数変化や平均時給などに関する事業所向け(TableB Establishment data)の2種類で構成されています。
米雇用統計をみるうえで、失業率と非農業就業者数の2項目が最も重要になります。これらの数値は、米国の労働市場を把握するための主要なデータになりますが、詳細な各データをチェックすると米国の労働市場の状況をより深く理解できるようになると思います。
家計調査では、失業率や労働参加率、不完全雇用率、短期・短時間労働者数などが注目されます。失業率が低下すると労働市場が改善された状況と考えられ、併せて労働参加率(働く意思がある人の割合)も上昇していれば、景気が上向いているとみられます。
また、景気の悪化を予測するための先行指標として不完全雇用の数値も注目度が高いです。企業がリストラを行う場合は、その前段階として短時間労働者の増加がみられ、しばらくしてから解雇が始まり、失業率が増える傾向があるからです。短期・短時間労働者は単なるパートタイム人口ではなく、フルタイムで働く意思があるにも関わらずフルタイムで働けない人の数として捉えることができます。
事業所調査では、非農業部門雇用者数や平均時給、平均週間労働時間などが重要視されています。前述したように非農業部門雇用者数は雇用統計の中で重要視されますが、詳細をみることによって、増減の主因が民間部門か政府部門なのかを把握することができます。また、業種ごとの雇用者数の増減に注目してみても面白いでしょう。
平均時給の増減は主要産業の人件費や個人所得の増減を示すと考えられ、将来のインフレ圧力やデフレ圧力としてそれぞれ捉えることができます。また、平均労働時間は労働者の稼働率として捉えることができ、景気回復や景気後退の兆しを読み取ることができると考えられています。
発表元:https://www.bls.gov/
リリース日:https://www.bls.gov/schedule/2023/home.htm