米小売売上高、予想よりも減少しない可能性も
- 2023/3/15
- 経済データBOX

日本時間15日21時30分に2月の米小売売上高が発表されます。大方の予想では、前月比0.3%減、変動の大きい自動車を除いたコア指数は同0.1%減となっています。
前回(2023年1月分)は、13業種すべての売上高が増加しました。業種別でみると、自動車・同部品販売が前月比5.9%増の1315億2300万ドルで、寄与度プラス1.08ポイントと全体を最も押し上げました。次いで、飲食サービスが同7.0%増の954億5300万ドルで、寄与度プラス0.95ポイント、総合小売りが同3.2%増の716億200万ドルで、寄与度プラス0.32ポイントとなりました。売上高の増加については、雇用市場の堅調や賃金の上昇、インフレ率の鈍化、暖冬だったことが寄与したと指摘されています。
米コンファレンスボードが発表した2月の米消費者信頼感指数は2カ月連続で低下しました。足元の景況感を示す現況指数は3カ月連続で上昇しましたが、先行きの景況感を示す期待指数が昨年7月以来の水準に低下しました。
このため、今晩発表される米小売売上高にマイナスの影響を与えたとの見方が大勢を占めていますが、マークラインズが集約した2月の米自動車販売は個人向けの販売の伸び悩みをフリート向け販売がカバーし、前月や前年同月を上回るなど好調を維持しています。また、米国は2月も暖冬傾向となったことで、米小売売上高は予想よりも減少しない可能性もありそうです。
◆米小売売上高(Retail Trade and Food Services)の見方は…
GDPの約7割を個人消費が占める米国において、個人消費のトレンドを把握することができるため、米小売売上高は非常に重要な指標と言われています。百貨店やスーパーなどの小売業の売上高を、無作為に抽出した約5,000社を対象としたサンプル調査に基づき、米商務省調査局(U.S. Bureau of the Census)が推計・発表しています。
総合指数や変動の大きい自動車を除いたコア指数、項目別では自動車や電気製品、建設資材、ガソリンスタンド、総合小売店などの前月比と前年比、実額が発表されます。また、調査する対象は耐久財と非耐久財に⼤別され、GDPの個人消費支出の算出に使われているコア指数が注目されます。
実際に調査した⽉から2週間後に発表されるため、速報性が高く、景気の先⾏指標として捉えられます。小売売上高が前月比で増加すると、個人消費は堅調と判断できます。一方、前月比で減少すると、個人消費が落ち込んでいると判断されます。また、例年1⽉に発表される数値には、前年のクリスマス商戦の結果が反映され、最も消費が旺盛な時期の米国の消費者マインドをみるために特に注目が集まります。10⽉に発表される数値には、米国の学校の新学期である9⽉の情勢が反映されています。
ただ、月ごとの変動が大きいため、トレンドの見極めが難しく、修正が大きくなる場合もあります。また、インフレ率を調整していないため、投資判断が難しいとする見方もあります。
発表元:https://www.census.gov/
リリース日:https://www.census.gov/about/event-calendar.html