GDP2次速報、上方修正の見通し
- 2023/6/7
- 経済データBOX

日本時間8日8時50分に日本の2023年第1四半期GDP2次速報が発表されます。大方の予想では、前期比0.5%増、前期比年率換算1.9%増とそれぞれ1次速報(前期比0.4%増、前期比年率換算1.6%増)から上方修正される見込みです。
財務省が1日に発表した2023年1-3月期の法人企業統計調査は、全産業(金融業、保険業を除く)の売上高は前年同期比5.0%増、経常利益は同4.3%増の増収増益となりました。また、設備投資(ソフトウェアを除く)は同10.0%増と前期(同6.3%増)から伸びが加速し、8四半期連続で増加しました。この法人企業統計の結果を受けて、GDPの上方修正を見込む向きが優勢となっています。
◆日本のGDP(Gross Domestic Product)とは
日本のGDP(国内総生産)とは、日本国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の総額のことで、日本の経済活動状況を示す重要な経済指標です。内閣府(Cabinet Office)経済社会総合研究所が公表し、速報は四半期ごと(1次速報は当該四半期終了後の1カ月+2週間程度、2次速報はさらに1か月後)、確報は当該年度終了の9か月後(12月中旬頃)に発表されます。
以前は日本の景気を測る指標として、主としてGNP(国民総生産)が用いられていましたが、現在は国内の景気をより正確に反映する指標としてGDPが重視されています。GDPは国内のため、日本企業が海外支店等で生産したモノやサービスの付加価値は含まれませんが、GNPは国民のため、国内に限らず、日本企業の海外支店等の所得も含んだものになります。
◆GDP成長率とは
ある一定期間と次の一定期間のGDPを比較して、変化率を%(パーセンテージ)で示すことで、経済成長の度合いを知ることができます。例えば、ある年のGDPが500兆円、次の年のGDPが520兆円だった場合、GDP成長率は(520-500)÷500×100=4%となります。仮に、前年のGDP成長率が2%だった場合、成長が加速しているとみることができます。成長率の推移は、経済成長が続いているのか、それとも停滞しているのかを判断する目安になります。
◆名目と実質の違い
GDPは、国の経済状況を知ることのできる指標ですが、より正確に状況を把握するためには、物価の変動も考慮する必要があります。そこで、物価の変動を考慮するかしないかによって、GDPは名目GDPと実質GDPという2つに分けられます。
名目GDPは、対象の期間の付加価値を単純に合計して求めます。たとえ、インフレが起きて貨幣価値が下がっていたとしても考慮には入れません。一方、実質GDPは貨幣価値の変動を考慮に入れて計算します。
通常、成長率分析の場合には実質値、構成比分析の場合には名目値が用いられます。
◆GDPの構成項目
GDPは生産(付加価値)と分配(所得)、支出(需要)の3つの側面から計測(三面等価の原則:3つのいずれの面から算出しても同じ値になるという経済学上の原則)されています。そして、GDPを計測する場合は、支出面のデータが早期に得られやすく、短期変動の場合は支出面からの影響が大きいため、経済変動の分析では支出面をあらわした需要項目別GDPが注目されます。
需要項目は、大きく分けると、「国内需要(内需)」と「財貨・サービスの純輸出(外需)」の2つとなります。内需は文字通り、日本国内で消費された財貨やサービスの合計です。外需は、輸出と輸入の差し引きとして算出されます。輸出が輸入を上回れば、海外は需要超過となり、GDPにとってはプラスに評価され、輸出が輸入を下回ればその逆となります。
また、内需は「民間需要(民需)」と「公的需要(政府支出)」に分けられます。さらに、民需は「民間最終消費支出」、「固定資本形成(設備投資)」、「民間在庫変動」に細分化され、このうち民間最終消費支出がいわゆる「個人消費」で、需要から見た日本経済の主力となります。政府支出も「最終消費支出」と「固定資本形成(設備投資)、」「在庫変動」に区分けされ、その中の政府固定資本形成がいわゆる「公共投資」となります。
発表元:https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html
リリース日:https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kouhyou/kouhyou_top.html