米住宅着工・許可件数、住宅市場の底入れを示唆か
- 2023/6/20
- 経済データBOX

日本時間20日21時30分に5月の米住宅着工件数と米住宅建設許可件数が発表されます。大方の予想では、着工件数が140.0万件と前月から小幅に減少する見込みの一方、許可件数が142.5万件と前月から増加することが見込まれています。
全米住宅建設業者協会(NAHB)が前日に発表した6月のNAHB住宅建設業者指数は55(市場予想51)と6カ月連続で上昇し、昨年7月以来、11カ月ぶりの高水準になりました。現況指数は61と昨年7月以来、販売見通し指数は62と昨年5月以来、購買見込み客足指数は37と昨年7月以来の水準にそれぞれ上昇するなど、中古住宅の在庫不足を受けて新築住宅に対する買い意欲が高まっていることが示唆されています。
フレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)によると、米30年物住宅ローン固定金利は6.69%(15日時点)で推移しており、今年後半から来年にかけて同金利は低下すると予想されています。
着工件数と許可件数の3カ月平均が今年1月をボトムに上昇に転じていることもあり、住宅市場の底入れを意識させる結果が見込まれます。
なお、フィラデルフィア住宅建設株指数(HGX)の年初来騰落率は+29.3%(15日時点)とS&P500(+14.9%)のパフォーマンスを大きく上回っており、ナスダック総合(+30.8%)のパフォーマンスと同水準となっています。
◆米住宅着工件数・米住宅建築許可件数とは
住宅着工件数(Housing Starts)は、月中に建設が開始された新築住宅戸数を示す統計で、一戸建て・集合住宅の区別、地域別(北東部、中西部、南部、西部)の区別で集計されて米商務省から発表されます。また、同時に発表される住宅建設許可件数(Building Permits)は、住宅の着工に先立ち地方自治体などに許可申請を行わなければならない地域での許可発行数を調査したものになります。
住宅建設には景気に連動したサイクルがあると言われます。一般的に、不況下では金利が安くなるため、ローン需要や住宅需要が増加します。それに伴って木材やレンガ、セメントなど住宅建築のための資材、家具や家電製品への波及効果が期待できるため、着工件数・建設許可件数が増え始めたら、経済全体がもうすぐ活気づいてくるサインとして捉えられます。一方、好景気の時には金利が高くなり、ローン需要が後退し、次第に住宅需要も減り、経済も下向きになるとみられます。この2つの指標は、件数および前月比の増減によって住宅投資の好不調を示すほか、景気動向と密接な関連があり、景気の先行指標として注目されます。
なお、建設許可件数は住宅着工件数の先行指標となります。着工件数、建設許可件数ともに指標を見る際には、気候の変化や自然災害に左右されやすく、月次の変動が大きいため、地域別のデータの分析や3ヵ月程度の移動平均をとるなどの注意が必要と言われています。
発表元:https://www.census.gov/
リリース日:https://www.census.gov/econcards/calendar-listview.html