着工件数は減少予想も許可件数は2カ月連続で増加との見方
- 2023/7/19
- 経済データBOX

日本時間19日21時30分に6月の米住宅着工件数と米住宅建設許可件数が発表されます。大方の予想では、着工件数が148万件と前月から減少する見込みの一方、建設許可件数が150万件と前月から小幅に増加することが見込まれています。
全米住宅建設業者協会(NAHB)が前日に発表した7月のNAHB住宅建設業者指数は56(市場予想56)と7カ月連続で上昇し、昨年6月以来、13カ月ぶりの高水準になりました。販売見通し指数は60に低下しましたが、現況指数は62と昨年7月以来、購買見込み客足指数は40と昨年6月以来の水準にそれぞれ上昇するなど、住宅市場の底入れを示唆する結果となっています。
ただ、フレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)によると、米30年物住宅ローン固定金利は6.96%(13日時点)と昨年11月以来の水準に上昇しています。住宅ローン金利の上昇が住宅市場の回復に水を差す可能性もあり、今晩発表される住宅着工件数は前月の反動も意識されて減少する見込みですが、着工件数の先行指標でもある建設許可件数は住宅市場の底入れから2カ月連続で増加する見通しとなっています。
なお、フィラデルフィア住宅建設株指数(HGX)の年初来騰落率は+42.3%(18日時点)とS&P500(+18.6%)やナスダック総合(+37.1%)のパフォーマンスを上回っています。
◆米住宅着工件数・米住宅建築許可件数とは
住宅着工件数(Housing Starts)は、月中に建設が開始された新築住宅戸数を示す統計で、一戸建て・集合住宅の区別、地域別(北東部、中西部、南部、西部)の区別で集計されて米商務省から発表されます。また、同時に発表される住宅建設許可件数(Building Permits)は、住宅の着工に先立ち地方自治体などに許可申請を行わなければならない地域での許可発行数を調査したものになります。
住宅建設には景気に連動したサイクルがあると言われます。一般的に、不況下では金利が安くなるため、ローン需要や住宅需要が増加します。それに伴って木材やレンガ、セメントなど住宅建築のための資材、家具や家電製品への波及効果が期待できるため、着工件数・建設許可件数が増え始めたら、経済全体がもうすぐ活気づいてくるサインとして捉えられます。一方、好景気の時には金利が高くなり、ローン需要が後退し、次第に住宅需要も減り、経済も下向きになるとみられます。この2つの指標は、件数および前月比の増減によって住宅投資の好不調を示すほか、景気動向と密接な関連があり、景気の先行指標として注目されます。
なお、建設許可件数は住宅着工件数の先行指標となります。着工件数、建設許可件数ともに指標を見る際には、気候の変化や自然災害に左右されやすく、月次の変動が大きいため、地域別のデータの分析や3ヵ月程度の移動平均をとるなどの注意が必要と言われています。
発表元:https://www.census.gov/
リリース日:https://www.census.gov/econcards/calendar-listview.html