米中古住宅販売、先行指標は3カ月連続で低下
- 2023/7/20
- 経済データBOX

日本時間20日23時に6月の米中古住宅販売件数が発表されます。大方の予想は、年率換算で421万件と前月から減少することが見込まれています。
先月29日に発表された5月の米中古住宅販売成約指数は、前月比2.7%低下の76.5(季節調整済)と3カ月連続で低下し、昨年12月以来の水準となりました。地域別では、全米4つの地域のうち、3地域で低下しました。中西部では2020年4月以来の水準に低下したほか、南部では2カ月連続で低下しています。なお、同指数は売買契約が成立しているものの、引き渡しが済んでいない物件の指数です。通常は1~2カ月後に引き渡しが行われて売買が完了するため、中古住宅販売件数の先行指標と考えられています。
米不動産業者協会(NAR)は、住宅需要はあるものの、高い住宅ローン金利や在庫不足が中古住宅販売件数に打撃を与えていると指摘しています。
米中住宅販売件数の在庫水準をみると、先月は108万件と2カ月連続で増加しましたが、住宅在庫供給月数は3.0カ月と需給の目安水準を大きく下回っており、住宅供給不足を示唆するものとなっています。引き続き、在庫不足が販売件数に影響を与える構図となりそうです。
◆米中古住宅販売件数(Existing Home Sales)とは
該当月に所有権の移転が完了した中古住宅の販売件数を、米不動産業者協会(NAR)が発表するものです。景気動向に対して先行性が高いと言われていますが、所有権移転完了ベースで集計されるため、契約書への署名ベースで集計される新築住宅販売件数のほうがより先行性が高いとされています。
ただし、新築住宅市場よりも中古住宅市場は規模が大きいため、住宅関連の指標としてはもっとも注目度が高いとも言えます。住宅の取得は、家具や家電製品、日用品などの買い替えにつながるため、景気全体への影響も大きいと考えられています。
歴史を振り返ると、住宅販売はつねに経済回復のカギを握っています。戦後の不況期をみると、いずれも住宅販売が経済回復の主要な推進力となってきました。不況になると、金利が下がりますが、金利が下がると人々はローンを組みやすくなり、購買意欲が高まってきます。そして、住宅を購入すると、家具や家電なども購入する流れに繋がり、経済のあらゆるところに波及していきます。ただ、2008年の住宅バブル崩壊以降は、住宅販売の経済回復に対する有効性は疑問視されるようになっています。
中古住宅販売件数のデータには、販売件数のほか、在庫や平均的な販売価格も含まれます。そして、中古住宅販売件数が回復基調にあるか否かを判断するには、現在のペースで住宅が売れ続けたと仮定した場合、現在の在庫が何カ月で全て売れるかを表した住宅在庫供給月数(在庫件数÷販売件数)に注目します。供給月数が短い場合、住宅市場は上向き、景気も良くなっていると考えられます。逆に供給月数が長い場合、住宅市場が落ち込み、景気が悪化しつつあると考えられます。なお、健全な需給パランスは6~7カ月と言われています。
発表元:https://www.nar.realtor/
リリース日:https://www.nar.realtor/newsroom/nar-releases-2023-statistical-and-forecast-news-release-schedule