日銀金融政策決定会合、現状維持との見方が優勢
- 2023/7/28
- 経済データBOX

日銀の金融政策決定会合が開催(27日・28日)されています。市場では、イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)を軸とした現行の金融緩和策が継続されるとの見方が大勢を占めています。
総務省が21日に発表した6月の消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が105.0と前年同月比で3.3%上昇しました。伸び率は2カ月ぶりに拡大したほか、日銀の物価目標である2%を上回る状況が続いています。
また、国際通貨基金(IMF)は25日、日本の物価には上振れリスクがあるとし、日銀に対してYCC政策から脱却するよう提言しました。ただ、植田日銀総裁は18日、持続的・安定的な2%の物価目標までに距離があるとの認識に変化がなければ、粘り強く金融緩和を続ける姿勢も変わらないと述べています。このハト派姿勢の発言を受けて、今会合での政策修正観測は後退しています。
前回会合(6月15・16日)では、日銀による金融緩和策の修正がなかったことから、円は全面安となり、ドル円は140円台前半から140円台後半へ上昇しました。また、植田日銀総裁の会見を受け、140円台後半から141.40円近辺まで上昇しています。
◆日銀金融政策決定会合とは…
日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の会合のうち、金融政策の運営に関する事項を審議・決定する会合を金融政策決定会合といいます。通常、年8回、各会合とも2日間開催されます。
議事内容は、
(1)金融市場調節方針
(2)基準割引率、基準貸付利率および預金準備率
(3)金融政策手段(オペレーションにかかる手形や債券の種類や条件、担保の種類等)
(4)経済・金融情勢に関する基本的見解等
とされています。
決定内容については、会合終了後、直ちに当該会合における内容が公表されます。また、政策変更がない場合も、その旨公表されます。
通常、1月、4月、7月、10月の年4回の会合で審議・決定のうえ、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」が公表され、会合における「主な意見」は原則として会合の6営業日後、議事要旨については次回決定会合の承認のうえ、その3営業日後に公表されます。
◆2%の「物価安定の目標」
日本銀行法では、日本銀行の金融政策の理念を「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」としています。物価の安定が大切なのは、それがあらゆる経済活動や国民経済の基盤となるからです。
日本銀行は、2013年1月に、「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率2%と定め、これをできるだけ早期に実現するという約束をしています。
◆「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」
日本銀行は、2016年9月の金融政策決定会合において、金融緩和強化のための新しい枠組みである「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入しました。この政策の枠組みは、金融市場調節によって長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」の2つの要素から成り立っています。
出所:日本銀行(https://www.boj.or.jp/)
開催日:https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/index.htm/