BOEは14会合連続の利上げ予想
- 2023/8/3
- 経済データBOX

日本時間3日20時に英国の政策金利が発表されます。大方の予想では、14会合連続での利上げが見込まれています。利上げ幅については、現状の5.00%から25bp(ベーシスポイント)引き上げるとの見方が優勢ですが、一部では50bpの利上げを見込む向きもみられます。
英国立統計局(ONS)が7月11日に発表した5月の雇用統計では、失業率が4.0%と前月(3.9%)から上昇しましたが、週平均賃金は前年同期比6.9%上昇(3カ月平均、賞与含む)と前月(6.7%上昇)を上回り、賞与を除いた週平均賃金は同7.3%上昇と高止まりとなったことで、英中銀に利上げ圧力をかける結果と受け止められました。
ただ、7月19日に発表された6月の消費者物価指数(CPI)が、前年比7.9%上昇と市場予想(8.2%上昇)以上に鈍化し、昨年3月以来の低い伸びとなりました。また、英中銀が注目するエネルギー・食品・アルコール・たばこを除いたコアCPIは同6.9%上昇と前月や市場予想(それぞれ7.1%上昇)を下回ったことで、50bpの利上げ観測が後退しています。
◆英金融政策委員会(Monetary Policy Committee)とは
MPC(Monetary Policy Committee)は、英国の中央銀行であるイングランド銀行(BOE)に設置されており、政策金利など英国の金融政策を決定する機関です。総裁、副総裁を含む5名の英中銀内部の委員と4名の外部委員の計9名の委員で構成され、年間8回会合を開きます。政策金利の対象は、中央銀行の預金金利であるBank Rateとなります。
また、年8回のMPCのうち、2月、5月、8月、11月開催の4回はスーパーサーズデーと呼ばれ、四半期インフレ報告が同時に発表され、その後、総裁による記者会見が行われます。
なお、2016年まで毎月開催されていましたが、FRB(米連邦準備制度理事会)やECB(欧州中央銀行)にならい、2017年から年8回に減らしています。
◆イングランド銀行の主な機能
BOEは1997年に金融政策の決定権を与えられ、政府からの独立性が高まりました。本店がシティ・オブ・ロンドンのスレッドニードル通りに所在することから、「スレッドニードル通りの老婦人(The Old Lady of Threadneedle Street)」と呼ばれることもあります。
BOEの主な機能は、
・物価安定の維持と英国政府の経済政策支援を遂行
・政府の銀行であると共に「最後の貸手」として銀行の銀行
・イングランドとウェールズにおける通貨発行
・外国為替と金準備を管理し、政府の証券(国債)を登録
などで、スコットランドと北アイルランドの通貨発行権は、その地域の銀行が持っていますが、イングランド銀行に通貨発行額とほぼ同額の預け入れを義務付けられています。
◆MPCボードメンバーの分布図(7月7日時点)
-タカ派-
マン(Mann)委員
ハスケル(Haskel)委員
ラムスデン(Ramsden)副総裁
ピル(Pill)理事
ベイリー(Bailey)総裁
グリーン(Greene)委員
ブロードベント(Broadbent)副総裁
カンリフ(Cunliffe)副総裁
-ハト派-
ディングラ(Dhingra)委員
発表元:https://www.bankofengland.co.uk/
リリース日:https://www.bankofengland.co.uk/monetary-policy/upcoming-mpc-dates