米フィラデルフィア連銀製造業、12カ月連続で活動縮小の見通し
- 2023/8/17
- 経済データBOX

日本時間17日21時30分に8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数が発表されます。大方の予想ではマイナス10.0と前月(マイナス13.5)からやや改善する見込みですが、景況感の分岐点であるゼロを12カ月連続で下回る見通しです。
15日に発表された8月のニューヨーク連銀製造業景気指数はマイナス19.0と、前月(プラス1.1)から悪化したほか、予想(マイナス1.0)以上の活動縮小が示されました。重要項目である新規受注はマイナス19.9と3カ月ぶりのマイナスに落ち込み、支払価格と販売価格がともに上昇するなど、緩和しつつあったインフレ圧力の加速が示されました。
前日に発表された7月の米鉱工業生産・設備稼働率では、製造業の生産指数は前月比0.5%上昇となりました。自動車が同5.2%上昇と製造業生産の上昇に寄与しましたが、自動車を除いた製造業生産は同0.1%上昇の伸びにとどまっています。
米製造業に底入れの兆しはあるものの、本格的な回復には至っていない状況とみられます。
◆フィラデルフィア連銀製造業景況指数(The Federal Reserve Bank of Philadelphia Business Outlook Survey)とは
フィラデルフィア連銀製造業景況指数とは、米国に12ある地区連邦銀行のひとつ、フィラデルフィア連銀が管轄する3州(ペンシルベニア州、ニュージャージー州、デラウエア州)の製造業における景況感や経済活動の現状などを指数化した指標です。同地域の製造業者に、新規受注、出荷、従業員数などの項目について、前月と比較した現状と6ヵ月後の見通しを、「良い」「同じ」「悪い」の中から選択させて指数化したもので、米国の経済指標のなかで、もっとも日銀短観に近い細やかさを備えています。
この指標の総合指数である景況指数は、対象地域の製造業者が景気をどのように捉えているかを表した数値で、0を景気判断の分岐点にプラスだと景気の先行きは明るい、マイナスだと景気減速懸念が高まっていると判断されます。
さらに総合指数を支える詳細な下位指数も注目されます。新規受注、出荷、受注残、入荷遅延、在庫、支払価格、販売価格、従業員数、就業時間、設備投資の各要素について、それぞれ指数が発表されます。景気の側面によってみるポイントは変わりますが、景気回復の初期には、新規雇用に先駆けて労働時間の増加が示されると考えられるため、労働時間が注目されます。そして、労働時間増加のトレンドが続くと、この先雇用が増えて景気が回復してくると予測できます。
ただ、同指標は人々の景況感を調査したものであって、実績値に基づいた数値ではありません。特に6カ月後の見通しについては、それほど精度が高くないとみられています。とはいえ、景況感が悪いときに経済が活発化するとは考えにくく、人々の意識が景気を作っていくのも事実です。
発表元:https://www.philadelphiafed.org/
リリース日:https://www.philadelphiafed.org/calendar-of-events#Economic-Release-Calendar