米ADP雇用統計、予想は19.5万人増
- 2023/8/30
- 経済データBOX

日本時間30日21時15分に8月の米ADP雇用統計が発表されます。大方の予想では、民間雇用者数は19.5万人の増加となっています。
7月のADP雇用統計では、民間雇用者数が32.4万人増と市場予想(19万人増)を大幅に上回り、在職者の賃金の伸びは前年比6.2%上昇と前月(6.4%上昇)から鈍化しました。同結果を受けて、米10年債利回りは4%台へ上昇し、ドル円は142.80円前後から143.10円前後へ上昇、ユーロドルは1.0987ドル近辺から1.0967ドル近辺へ下落とドル買いの反応が見られました。
ADPは、「米経済は予想以上に強く、労働市場も堅調なため消費も底堅い。賃金の伸び率は鈍化傾向あるものの、解雇数は増えていない」と分析しています。
一方、前日に米労働省が発表した7月のJOLT求人件数は882.7万件と市場予想(950万件)を下回り、2021年3月以来の水準に落ち込みました。6月分も958.2万件から916.5万件に下方修正されました。今晩のADPの結果が市場予想を下回ると、米労働市場のひっ迫が一段と緩和したとの見方が強まる可能性があります。
◆ADP雇用統計とは
ADP雇用統計とは、米国の民間雇用サービス会社ADP(Automatic Data Processing)社が発表する雇用調査レポートです。米労働省が公表している米雇用統計に近い算出方法をとっていますが、ADP雇用統計は政府機関の雇用は含まれていません。ADP社が約50万社の民間企業の給与計算データをもとに雇用者数の動向を示した指標で、米雇用統計は民間企業と政府機関をあわせた14万社の44万事業所が対象となっています。
2006年5月から公表されており、原則、米労働省の雇用統計が発表される2日前に公表されます。このため、米雇用統計の非農業部門雇用者数(NFP)を予測する先行指標として注目されています。また、ADPは各週の雇用を週次で、米労働省の雇用統計は当月12日を含む週の雇用を月次で集計しています。なお、2022年6月分から米スタンフォード大学のデジタルエコノミーラボと協力して開発した新分析手法のデータを発表しています。
ADPの給与データには、いつ、いくら支払われたかといった給与取引データと、会社の給与支払者および雇用者と被雇用者に関する管理データが含まれています。ADPのデータでは、企業の給与支払者数と、ある給与期間に給与が支払われた従業員数を測定することができ、この2つの指標は労働市場をより深く理解する上で重要なものとされています。
内訳は、財生産部門(建設業や製造業などの3業種)とサービス部門(レジャー接客業や貿易・運輸・公益事業などの12業種)となっています。また、この2つの部門を小規模企業(1~19人の従業員数、20~49人の従業員数など)、中規模企業(50~499人の従業員数)、大企業(500人以上の従業員数など)と従業員数によって区分けしたものが公表されます。
発表元・リリース日:https://adpemploymentreport.com/