カナダ中銀、据え置き予想が優勢
- 2023/9/6
- 経済データBOX

日本時間6日23時にカナダの政策金利が発表されます。大方の予想では、3会合ぶりに現行の5.00%に据え置くとの見方が優勢です。
前回会合(7月12日)では、6月の会合に続いて政策金利を25bp(ベーシスポイント)引き上げ、約22年ぶりの高水準となる5.00%にしました。マックレムBOC総裁は、「一段の措置が必要だと示唆されれば、政策金利を引き上げる用意がある。中銀は入手可能な情報に基づき、その都度決定を下していく」述べました。
また、同時に公表された金融政策報告書によると、インフレ率は来年に3%程度で推移したあと、徐々に低下し、2025年半ばに目標の2%まで低下すると予測されています。従来予想(2024年末)からインフレ目標の達成時期は後ずれしました。
カナダ統計局が8月15日に発表した7月の消費者物価指数(CPI)は、前年比3.3%上昇と6月の2.8%から伸びが再び加速しました。同発表を受けて、今会合での25bpの最終利上げに踏み切るとの見方が一時的に強まりましたが、7月会合後に発表されたPMIや小売売上高、GDPなどがカナダ経済の減速を示す結果となったことで、今会合では政策金利を据え置くとの観測が優勢となっています。
◆カナダ政策金利とは
カナダの政策金利は、カナダ銀行(Bank of Canada)が年8回開催する運営評議会(Governing Council)で決定されます。運営評議会は、総裁、上級副総裁、副総裁4名の計6名で運営され、政策金利の対象は翌日物金利(Overnight Rate)の誘導目標となります。
また、1月、4月、7月、10月には金融政策報告書(Monetary Policy Report)が同時に公表されます。同報告書で公表される経済・物価見通しは、実質GDPやインフレ率、原油・天然ガス価格、海外主要国・地域のGDPなどとなります。
カナダ銀行は、1975年以降、インフレ率抑制という最終目標を達成するためにM1(現金通貨と預金通貨)をターゲット(中間目標)にして金融政策を運営していました。しかし、M1とインフレとの相関関係が弱まってきたことから1982年にこの方針を断念しています。その後1991年までは明示的な中間目標を設定せず、為替レート、失業率等の指標を総合的に判断する政策運営に移行しましたが、裁量的な政策運営がインフレ抑制に十分な効果を挙げていないとの認識から、1991年2月にインフレ率を直接のターゲットとして金融政策を行うインフレ・コントロール・ターゲット(現在はインフレ目標2%、目標レンジ1~3%)を採用しました。
なお、インフレ・コントロール・ターゲットは、カナダ銀行と連邦政府が共同で設定し、5年ごとに見直すことになっています。
発表元:https://www.bankofcanada.ca/
リリース日:https://www.bankofcanada.ca/core-functions/monetary-policy/key-interest-rate/