スイス中銀、最後の利上げか
- 2023/9/21
- 経済データBOX

日本時間21日16時30分にスイスの政策金利が発表されます。大方の予想では、現行の1.75%から25bp(ベーシスポイント)引き上げ、2.00%にすることが見込まれています。
スイス連邦統計局が1日に発表した8月の消費者物価指数は、前年比1.6%上昇とスイス国立銀行(SNB、中央銀行)のインフレ目標レンジ(0~2%)内にありますが、事前予想(1.5%上昇)は上回りました。
7月にはシュレーゲルSNB副総裁が「最近のインフレ率低下にもかかわらず、インフレ圧力は上昇し続けている。インフレ率が中期的に2%を超えて定着するリスクはまだある」などと述べるなど、追加利上げを行う可能性があるとの考えを示しました。また、スイス経済省経済事務局(SECO)の経済見通し(6月時点)では、今年のインフレ率は2.3%と予測されています。
このため、SNBが最後の利上げを行うとの見方が優勢となっています。
◆スイス政策金利とは
スイスの政策金利は、スイス国立銀行(SNB)が原則として四半期(3・6・9・12月、必要に応じて頻繁)ごとに開催される金融政策理事会(Governing Board)で決定されます。
政策金利の対象は、2000年1月3日から2019年6月13日までは3か月物Liborの誘導目標レンジで、多くの主要各国が対象としている市中銀行間の翌日物金利よりも期間が長いものでしたが、2019年6月13日からはSNB政策金利(SNB policy rate)が適用されました。
SNBはスイスフランの短期金融市場金利をSNB政策金利に近い水準に維持するよう努めるとしています。対象となる短期金融市場金利は、スイスフランの金融市場の中で最も流動性の高いセグメントを基にした安全なオーバーナイト金利のSARON(Swiss Average Rate Overnight)となります。近年、SARONは金融商品の参照レートとしてスイスで重要性を増しており、現在では有担保短期金融市場金利の中で最も代表的なもので、マネーマーケット・モーゲージや変動利付債などの金融商品の参照レートとして利用されています。
SNBは四半期ごとに企業懇談会(地域経済関係に関する質問と回答)で収集した情報にも基づいて金融政策評価を行い、金融政策の方針を決定して公表します。また、インフレ予測を作成し、金融政策の据え置き、引き締め、緩和のいずれかを決定するとしています。
金融政策の決定は、原則として金利について行われますが、必要であれば、SNBは金利に関連しない決定も行うことができます。例としては、2011年9月にスイスフランの対ユーロ相場に上限を設定し、上限を守るために無制限で為替介入をする方針を発表しました。また、2015年1月には設定していたスイスフラン相場の上限の撤廃を発表し、スイスフランが暴騰したことがあります。
発表元:https://www.snb.ch/en/iabout/monpol
リリース日:https://www.snb.ch/en/ifor/media/id/media_events