[書評]マーケットの魔術師 米トップトレーダーが語る成功の秘訣
- 2015/3/20
- 書評

◆マーケットの魔術師 米トップトレーダーが語る成功の秘訣
本書はおそらく相場書の中では最も人気があり、隠れたロングセラーなのではないでしょうか。
マイケル・マーカス、ブルース・コフナー、ポール・チューダー・ジョーンズなど、きら星のごとく輝くスーパートレーダー達へのインタビュー集です。紹介されている人の中にはすでに引退した人もいます。1989年に出版された本ですが、古さはあまり感じさせません。読めば読むほど新しい発見があり、面白くためになる本です。
本書に出てくるスーパートレーダー達は、次のような点について読者に語ってくれています。
・マーケットに興味を持つようになったきっかけ
・過去に犯した最悪の失敗とそのことから何を学んだか
・自ら構築したトレード手法の裏にある概念
・心理的および性格的に、自分のどういう資質が成功をつかむカギになったのか
・トレーディングで大半の人が犯す過ち、また「大多数の人の認識」の特徴である間違った考え方
著者のシュワッガーのインタビューで、こうした内容についてトレーダー達の回答を引出し読者に有益な助言を与えてくれます。シュワッガーの魔術師のシリーズについては、具体的な技法の記述がないなどとの的外れな批判を耳にすることもあります。しかし、ウイザードたちの相場に対する取り組み方や考え方、生き方などから学べることは技法以上のものがあることは理解しておきたいところです。自分なりのトレーディングのやり方やスタイルを確立し、実践家として成長するためのヒントに溢れており、規律、忍耐、勇気の重要性を常に教えてくれます。
こうした哲学や概念というものは、時間を超越したものであり、時が経っても色褪せることはないと思います。この点こそが、本書が長く読み継がれ、プロのトレーダー達からも絶賛されている理由だと思われます。