新興国通貨に注意
- 2020/5/7
- 佐藤りゅうじブログ

ドル円がジリジリと水準を引き下げている。こういった陰湿な下げ方は、買い方の手じまいを遅らせるので、底入れに時間が掛かることがある。ストップを巻き込んで105円台前半くらいまで急落した方が、戻りも大きいと思うのだが、相場としては、ここは戻りを丁寧に売っていけばいいかと思っている。
ところで、気になるのは、新興国通貨の下落だ。南アランド円、トルコリラ・円は年初からほぼ一方的な下げとなっている。特にトルコ・円は問題が山積しており、ここにきて連日の史上最安値更新場面を迎えている。
トルコは、新型コロナウイルスの感染拡大前から、インフレが進行していたうえ、次期防空システムにロシア製S-400を採用するなど、米国との関係も悪化していた。そこに、新型コロナウイルスの感染拡大により、主要産業である観光業が大きなダメージを受けた。
トルコ中銀は、リラの減価を防ぐためにリラ買い・ドル売り介入を実施しているが、効果は出ていない。そして現時点では、外貨準備も500億ドル前後まで減少しているとみられる。また、米国との関係が悪化していることもあり、米連邦準備制度理事会(FRB)は、トルコ中銀とドル供給のスワップ協定を結んでいない。このことも、トルコリラにとっては痛手となっている。トルコリラのロングは、難しい状況だ。
トルコリラに限らず、新興国通貨は下落しているものが多いが、主要国の株価が戻り歩調のなか、新興国通貨が下落するという構図は、不気味さを感じる。方向性としては、金融緩和の効果もあり、回復基調なのだろうが、どこかに落とし穴がありそうなので、注意はしておきたい。