落日のトランプ政権
- 2020/6/5
- 佐藤りゅうじブログ

ユーロドルがついに1.1250をしっかり上抜いてきました。これで、次は年初来高値の1.1495を視野に入れた展開となりそうです。基礎収支をみると、一昨年あたりからユーロ圏への資本流入が増えていました。ようやく投機筋も提灯つけてきたといったところです。ただ、直近の値動きとしては、昨日の上昇で、8連騰なので、一旦は調整場面がありそうです。
このところの相場ですが、ユーロ自体も強いですが、ポンドもオージーも上昇しており、全体としては、ドル売り・円売りです。今回のドル売りをみていると、大きな流れが変わったように見受けられます。その背景には、米連邦準備制度理事会(FRB)の7兆ドルもの緩和マネーがあります。ただ、それ以外にも、どうもトランプ政権への見限りのようなものも感じられます。
今回の新型コロナウイルスのような未曾有の災禍が発生した場合、その対応のあたるのは政権与党です。野党では、ありません。つまり、ここで成果を上げれば、政権の支持が大きく高まり、次の選挙をとても有利に迎えることができます。もちろん、災禍への対応を失敗すれば・・・。東日本大震災の時のことを思い出して頂ければ、想像に難くないでしょう。
その意味では、いま欧州、オセアニアと米国では、全く違う状況が起きています。独の公共放送ARDの委託で調査機関DeutschlandTrendが実施した世論調査によると、メルケル首相率いる連立政権の支持率が約3年ぶりの高水準に上昇しているそうです。新型コロナウイルス感染拡大における対応が評価された格好です。
また、ニュージーランドは、新型コロナウイルスの制圧にほぼ成功しており、アーダーンNZ首相は、来週にも物理的距離の確保や大規模な集会の制限は解除する可能性があることを明らかにしています。一方、オーストラリアは、過去30年で初めてのリセッションに入りましたが、豪準備銀行(RBA)は、当初、想定していたより新型コロナウイルスが与える景気への影響は少ないとしています。4月の世論調査でも、モリソン首相の支持率が53%と、過去10年で最も高い支持率を記録しました。
一方、米国は、新型コロナウイルスの災禍の中、人種問題を発端に社会秩序が大きく乱れています。トランプ大統領は、軍まで投入するありさまです。大統領への再選の道は、険しくなっています。
こうした中、各国首脳が米国への対応は、11月の大統領選以降と考えても不思議はないですし、投資マネーも政権が安定しそうな、独やオセアニアに向かいやすいでしょう。そんな状況が、いまの為替相場に表れているように思えます。
ん?じゃ、円が売られているのも・・・。