〈雑感〉FOMCで大荒れの可能性
- 2020/6/10
- 佐藤りゅうじブログ

ドル円、戻りらしい戻りもなく、ズルズルと下げています。この原稿を書いている午後5時25分現在、107.29付近で取引されています。
為替市場は、全体的にドル安に振れているので、ドル円が下落すること自体は、マーケットに沿った動きです。ただ、この戻りのなさは、先週の円売りのツケを支払わされているようですね。
さて、今夜は米連邦公開市場委員会(FOMC)です。市場では、イールドカーブコントロールが議論され、いずれ導入されるとの見方が強まっています。
この背景には、5日に発表された5月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数がなんとプラス250万人と驚きの結果となりました。これ受けて、米国の景気回復期待が一機に高まり、米債利回りは上昇(価格は下落)したことが挙げられます。
その一方で、7兆ドルにも及ぶ、緩和マネーを背景に、ナスダックは史上最高値を更新しました。投資資金が景気回復期待から、債券から逃げ、株に向かうとう構図です。
このお金の動きですが、本当に景気がよく、低失業率なら問題はありません。
しかし、失業率は予想より低いと言っても、13.3%もあります。また、株価は上昇していますが、4月の消費者信用残高は、年率換算の前月比で19.6%減少。2カ月連続の減少で、減少率は1943年7月以来76年9カ月ぶりの大きさです。
新型コロナウイルスにより、個人の消費動向は冷え切っており、企業活動も落ち込んでいるのが実情です。この状況で、長期債の利回りが上昇すると、資本調達コスト上昇、企業は資金繰りに困窮し、従業員の解雇や、最悪、倒産の可能性があります。個人のローン金利も上昇します。
これを防ぐために、FRBは、YCCを導入し長期債の利回り上昇を抑え込みたいのです。ただ、問題は、米長期債市場のように大きい市場を、本当に中央銀行が制御できるかです。
もちろん、パウエルFRB議長は、バランスシートの無制限に拡大すると言っているので、それを実際に行えば、一時的にはコントロールはできるでしょう。ただ、それは、もはや官製相場であると同時に、もとの身体には戻れない道なのかもしれません。
少し、話が膨らみ過ぎましたが、直近の金融市場は、米債の金利が低く抑えること、つまりYCCの導入を織り込んだ動きです。このため、今日、パウエルFRB議長が、「YCC?そんなの検討もしていないよ」なんて述べれば、相場がひっくり返りそうなので、注意しておきましょう。
また、YCCの検討を認めても、ドル売り材料出尽くしとなる可能性もあります。その場合は、一旦、ドル買いとなりますが、次のドル売り場面のチャンスがやってくると考えておいて方がよさそうです。
今夜のFOMC、そして、パウエルFRB議長の会見、久しぶりに荒れそうです。