〈雑感〉今夜の雇用統計はどっち?
- 2020/7/2
- 佐藤りゅうじブログ

昨日発表されたADP雇用統計の前月の修正があまりに凄かったので、今日の発表される米雇用統計、そしてトレードについて考えてみました。
まず、1日に発表されたADP雇用統計ですが、6月の数値は236.9万人増と事前予想290万人増を下回りましたが、5月分は276万人減から306.5万人増への修正、582.5万人もの大幅な増加です。ただ、ドル円の反応は限定的でやや円売りに振れた程度でした。クロス円は、主要通貨が対ドルで上昇したことから、買いが優勢となりました。
前回の雇用統計を振り返ってみると、非農業部門雇用者数が予想の750万人減に対し、実際は250万9000人増と約1000万人も違いました。これを受けた市場の反応は、ドル円は109.20付近から109.80前後と60銭前後の上昇と、1000万人も予想と違った割には、値動きは極めて限定的でした。ただ、ダウ平均株価は前日比829ドルル高の27110ドルと約3カ月ぶりの高値を付け、米10年債の利回りは0.9%前後へ上昇(価格は低下)し、全体としてはリスクオンの格好でした。
・雇用回復は本当か?
今回の雇用統計のポイントは、先月の雇用統計、そして昨日のADP雇用統計と続いている雇用の回復は本物かということになりそうです。失業保険継続受給者は、1900万人に達しています。これに対し、失業率は13.3%、6月は予想では12.5%に改善される見込みです。
ただ、失業率は、「失業者/労働力人口×100」で求めるのですが、失業者の定義が「仕事がなく、過去4週間以内に仕事を探した者で、かつ仕事があればすぐに就ける者」となっており、コロナ禍の中、求職活動を出来なかった場合は、失業者には含まれません。また、失業者は家計調査をもとに算出されるのですが、コロナの影響で調査の回答率が70%にも達しおらず、サンプルとしては不十分な可能性もあります。
これらのことが、実際の雇用状況と雇用統計の数値に整合性の問題を生じさせ、多くの地区連銀総裁達が、雇用統計の数値に懐疑的であり、雇用の回復は緩やかなペースになる可能性が高いと言わせるのでしょう。
・噴き値売り
さて、明日の雇用統計での戦略ですが、私はいい数値が出て、ドル円が上昇した場合は、戻り売りを考えています。上記したように、雇用統計の数値ほど、米国の状況は良くはないでしょう。新型コロナウイルスの第2波とみられる動きもあります。また、最近の米株の値の軽さをみると、腰の据わった買いは入っていないでしょう。
また、昨日の東京で108.16まで上昇しましたが、108円台の買いはシコってしまっています。戻りはヤレヤレ売りを誘発するでしょう。テクニカル的には、108.40に200日移動平均線があり、このあたり上値の一つのメドになります。雇用統計前のレートが107円台半ば~後半で、雇用統計で108円台前半に跳ねれば、そこからは売り上がり。6月は110円乗せに失敗しており、買い方にしても109円台に入っても、そこを積極的には買えないとみています。
下値は106.80に注目
一方、弱い数値が出て、突っ込んだ場合ですが、26日のNY序盤に支持となった106.80に注目しています。この価格帯が維持されてしまうと、戻りを試す可能性があります。逆に割り込むようなら、再度の106円の攻防となりそうです。基本、売り目線が考えていますが、106.80が維持されると、ちょっと嫌な感じです。さて、どうなりますかね~。