〈雑感〉AIT?結局、株高・ドル安は続くか
- 2020/8/28
- 佐藤りゅうじブログ

注目されたパウエルFRB議長講演ですが、米連邦準備制度理事会(FRB)は、AIT(average inflation target、平均インフレ目標)の導入を決定しました。今までの政策と違うのは、以下の点です。これまでは、2%をインフレ目標として、これを超えないよう物価目標を達成することが主眼とされていました。これまでは、インフレが発生することを前提に、どうインフレをコントロールするか考えてられていました。
まぁ、実際、戦争やオイルショック、過剰流動性などから、インフレが発生し、中央銀行の役割はインフレ率の上昇をどのようにコントロールするかということでした。しかし、米国はリーマンショック以降、お金を刷れども刷れどもインフレは発生しません。
まるで、日本のようです。この状況を考え、FRBはインフレ率2%を上限として、コントロールするのでなく、2%を超えても構わないから、インフレを発生させようと方向転換させたのが、今回の決定です。
ただ、具体的な方法は示されませんでした。FRBはすでに出来ることの多くの緩和策を打っており、ここから先はイールドカーブコントロールやマイナス金利といった、副作用が大きく、効果に疑問が付くものが増えてきます。このためFRBとしては、国債や社債の買い入れといった既存の方法での緩和はまだまだ続けるよ~とメッセージを送ったではないかと思います。なんだか、日銀に似てきたなぁ~とも思います。
ダラダラと書いてしまいましたが、結局はこれまで通りってことだと思っています。いまの米株は史上最高値を更新していますが、FRBの緩和は続くので、ここが頂上ではないということでしょう。ドル安もゴールドの上昇も、まだまだ続きそうです。
株価が上がれば、債券が売られ金利は上昇をしますが、金利上昇もいつまでも続かないとみています。新型コロナウイルス禍の中、世界中の企業が緊急融資等を受けていますが、それでも多くの企業は厳しい状況にあり、来年あたりからはつなぎ融資も必要になるでしょう。この時、金利が上昇していると、耐えきれずに倒産する企業も増えます。中銀としては、金利を低く誘導する必要があり、いまの超低金利を維持するオペレーションをしてくるでしょう。