<雑感> 金利主導ならメキシコペソ・円のロングに妙味
- 2021/10/7
- 佐藤りゅうじブログ

今年の春以降、急速に上昇を開始した米国の消費者物価指数は、直近の8月の数値をみても、前年比で5.3%上昇と高止まりをみせています。また、雇用統計をみると、平均時給の上昇も続いています。パウエルFRB議長をはじめ、米連邦準備制度理事会(FRB)メンバーの多くは、いまもインフレは一時的と述べていますが、米長期金利の上昇をみると、市場はインフレ警戒感を強めています。また、次回11月3日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、テーパリングの開始が決定するとの見方も広がっています。
これを受けて、ドルは買いが先行しており、ドルインデックスは年初来高値を更新しています。ただ、ユーロドルやポンドドルは、年初来安値を更新(ドルが上昇)した一方で、オージードルなどは年初来安値を更新しておらず、ドルは確かに強いですが、通貨ごとに景色は違うようです。
そんな中、気になるのが、メキシコペソです。米国の物価上昇の影響もあり、8月のメキシコの消費者物価指数は前年比5.59%と米国を上回る数値です。そして、今夜8時に同国の9月の消費者物価指数が発表されますが、事前予想では6.00%となっており、一段とインフレが進みそうです。
メキシコの中央銀行にあたるメキシコ銀行は、インフレ目標を3%±1%としています。8月消費者物価指数は5.59%ですから、上限である4%を大きく上回っています。9月はさらに高い数値が見込まれており、インフレの長期化が予想されています。
メキシコ銀行は、インフレ対策として、6月24日の政策金利決定会合から9月30日の会合まで3回連続の利上げを実施し、現在、政策金利は4.75%です、しかし、政策金利からインフレ率を引くと、実質金利はマイナスですので、利上げをしばらく継続する可能性があります。
利上げに動けない円と物価上昇から利上げに駆り立てられるメキシコペソをみると、ペソ円の買いは、なんだか面白そうです。長期投資でも妙味がありそうです。最近の値動きをみると、現在、ドルが強いことから、メキシコペソは対円でも高値圏で上値が重くなっています。ただ、米国の利上げは早くても来年末でしょうし、いずれメキシコペソは対ドルでも地合いを引き締めるでしょう。それは、メキシコペソ円でも上昇をもたらすでしょう。
また、日本円とメキシコペソの、金利差は拡大傾向が続くでしょう。以前のように円キャリーが出来るかはわかりませんが、金利差、中銀の動向、そして米国との地理的、経済的なつながりを考えると、メキシコペソ・円買いは面白そうです。