<雑感>メキシコ物価上昇止まらず、8連続会合利上げが視野に
- 2022/4/12
- 佐藤りゅうじブログ

メキシコのインフレ率の上昇が止まりません。4月7日、国立統計地理情報院(INEGI)から発表された2022年3月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比7.45%上昇、3月のCPIが7%超えとなるのは、21年ぶりのことです。農産物やエネルギーを除くコア指数は、同6.78%の上昇となっています。メキシコ銀行のインフレ目標のレンジ上限は4%ですが、これを13カ月連続で上回っています。また、今月からロシアのウクライナ侵攻の影響も出てきており、家庭用液化石油ガス(LPG)が7.48%の上昇となっています。メキシコの他の多くの国々と同様に、物価上昇が止まりません。
一方、雇用状況をみると、先月30日に発表された2月の失業率は3.74%です。昨年12月に3.51%まで低下しましたが、今年1月は3.71%と上昇、これで2カ月連続の悪化です。水準としては低いですが、インフレが加速しているだけに気掛かりではあります。また、今月11日に発表された2月の鉱工業生産は、前月比1.0%低下、前年同月比2.5%増加となっています。
これらの指標をみると、インフレ率の上昇の影響が、徐々に経済活動の影を落とし始めているようです。メキシコ銀行のインフレとの戦いはまだまだ続きそうです。メキシコ銀行は、先月25日の金融政策委員会で7会合連続利上げを決定、しかも直近3回は0.50%の利上げとなっており、現在、政策金利は6.50%です。
ただ、それでも、政策金利からインフレ率(3月の消費者物価指数7.45%)を引くと、実質金利は依然としてマイナスとなっています。今後、ウクライナ情勢の影響から、インフレが一段と加速する可能性もあり、来月12日に予定されている金融政策委員会でも、利上げを実施する可能性が高そうです。
メキシコペソ・円の値動きをみると、2月24日のロシアのウクライナ侵攻後、下落を開始し、3月8日は5.374円付近まで下落しましたが、日足は十字線をつけて切り返し、その後は急激な円安もあり、6.27円台まで上昇しています。3月28日から4月8日まで6.10~6.20円前後のレンジ取引でしたが、ここから上抜けた格好となっており、次の上昇トレンドが始まった可能性がありそうです。長期投資で考えても、円との金利差、日銀とメキシコ銀行の政策スタンスの違いは顕著であり、メキシコペソ・円は、買い分がありそうです。
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