<雑感>メキシコ中銀、10会合連続利上げがほぼ確実
- 2022/8/11
- 佐藤りゅうじブログ

今日、11日、メキシコ銀行(中銀)は、金融政策決定会合を開催します。大方の予想では、前回7月23日の同会合に続き、0.75%の大幅利上げが実施されるとみられています。同国の高いインフレ率、隣国の米国が、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも0.75%の大幅利上げに動いたことを考えると、メキシコの0.75%の利上げはほぼ確実でしょう。今会合で0.75%の利上げとなれば、10会合連続利上げ、政策金利は8.50%となります。ただ、これだけ利上げをしても、インフレが収まる兆しはなく、利上げはまだ続きそうです。
8月9日、国立統計地理情報院(INEGI)から発表された2022年7月の消費者物価指数(CPI)は、前月比0.74%上昇となり6月の0.84%上昇からは低下、一方、前年同月比では8.15%の上昇となり、6月の7.99%上昇から上昇しています。7月も前月に続き、食料品の上昇が目立ちました。食料品と飲み物、たばこの価格は、前年同月比12.09%もの上昇となっています。同国の高インフレは続きそうです。一方、雇用状況をみると、6月の失業率は3.30%と前月の3.30%から変わらずとなっています。依然として低い水準を維持しています。
メキシコ銀行のインフレ目標のレンジ上限は4%です。現在、これを17カ月連続で上回っています。現時点の政策金利からインフレ率(6月の消費者物価指数8.15%)を引く実質金利は、-0.65%であり、利上げ余地はまだあります。雇用状況が良好な状態が継続していることも、積極的な利上げを可能にします。
また、メキシコは隣国アメリカへの経済依存が高いです。先週発表された米雇用統計が非常に強い内容だったことは、メキシコ経済にとっても好材料です。事実、INEGが7月29日に発表した2022年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(速報値)をみても、前年同期比2.1%、前期比(季節調整済み)1.0%となっています。
メキシコペソ・円の値動きをみると、6月16日にスイス国立銀行(SNB)の大幅利上げの影響などからドル円が131円台まで突っ込んだ際に、6.389円まで下落しましたが、その後、急速に戻し、6.55~6.80円前後での取引が続いていましたが、7月下旬からの円高を受け、8月2日に6.366円まで下落しました。しかし、同水準では押し目を拾われ、現時点では6.64円台まで戻しています。日・メキシコ、両国の金融政策をみると、日銀の緩和政策は継続されそうです。その一方で、メキシコ中銀の利上げ姿勢は強さを増しています。このため、大きな流れとしてのペソ円の上昇は続き、いずれ、6月9日の高値6.867円を試すとみます。