<雑感>介入は押し目買いの好機か、ドルより強いメキシコペソ
- 2022/10/25
- 佐藤りゅうじブログ

メキシコペソ・円の上昇トレンドが継続しています。21日には、7.578円まで上昇し、連日の年初来高値を更新しました。その後、日銀の円買い・ドル売り介入の余波を受け、24日には7.299円まで下落する場面がありましたが、すぐに7.4台を回復しています。いまのところ、日銀の介入による下落は、押し目場面となっているようです。
・ドルより強いメキシコペソ
メキシコペソが対円で年初から上昇(約35%)していることはもちろんですが、対ドルでも年初から約2.8%上昇しています。今年は「強いドル」のイメージがありますが、メキシコペソはさらにその上いく強さです。メキシコペソが強い背景には、大きく3つあります。高金利、米国からメキシコへの郷里送金、そして直接投資です。
現在、メキシコの政策金利は9.25、3会合連続で0.75%の利上げを実施、利上げ自体は11会合連続です。9月の消費者物価指数は前年同月比8.7%とインフレとの戦いが続いています。次回、11月の金融政策決定会合でも利上げが見込まれています。
米国からメキシコへの送金ですが、メキシコでは米国への出稼ぎ労働者が多くいます。このため、米国からメキシコへの送金額は、メキシコのGDPの約4%を占めます。メキシコ銀行によると、7月の米国からメキシコへの送金額は、53億ドルと過去最高を記録したそうですました。1~7月の累計は328億ドルでした。米国は、労働市場がひっ迫しており、今後もこの傾向が続きそうです。
メキシコへの直接投資ですが、8月22日にメキシコ経済省外国投資局(DGIE)が発表した対内直接投資統計によると、2022年1-6月の対内直接投資額(国際収支ベース、フロー)は前年同期比49.2%増の275億1,160万ドルとなりました。同局によると、これには大型案件2件が絡んでおり、それを除いても同12.0%増となっているとのことです。近年の米中関係の緊張により、中国企業が米国へのゲートウェイとしてメキシコへの投資を増やしていることも背景の一つです。
・ペソ円の上値余地はまだある
このようにファンダメンタルズから大きなペソ買いの流れが起きています。また、日・メキシコ、両国の金融政策をみると、日銀の緩和政策は継続されますし、その一方で、メキシコ中銀の利上げ姿勢もまだ続くでしょう。金利差拡大からのペソ円の上昇は続くと考えます。
日銀は円買い介入を実施していますが、あくまで円安のスピードをコントロールするのが目的であり、トレンドを円安から円高に変化させることを目的にはしていません。また、介入効果は、その回数を重ねるごとに効果は薄くなるとみます。円買い介入の余波でペソ・円が下落するようなら、そこは押し目買いの好機となる可能性が高そうです。
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