<雑感>今年もメキシコペソは最強通貨か、14会合連続利上げへ
- 2023/2/9
- 佐藤りゅうじブログ

今日、2月9日、メキシコ銀行(中銀)は、金融政策決定会合を開催する予定となっています。市場では、今会合では、0.25%の利上げが予想されいます。昨年のメキシコペソは、米ドルよりも強く、最強通貨と言ってもいい存在でした。今年1月は、豪ドルが強かったですが、2月に入り、メキシコペソは再びしっかりとした展開になっています。今回は、今後のメキシコペソの行方を考えてみます。
・政策金利は過去最高を更新か
メキシコ銀行は、これまで13会合連続の利上げを実施しています。直近の昨年12月15日の会合では、同国のインフレがピークアウトした可能性があることから、利上げ幅は直近4回の0.75%から0.50%に縮小したものの政策金利は過去最高の10.50%となりました。今会合では、利上げ幅が前回の0.50%から0.25%にさらに縮小する見込みです。ただ、それでも、政策金利は過去最高を更新し10.75%となります。
・インフレ率は高止まりか
メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)が1月31日に発表した2022年の第4四半期のGDPは前年同期比3.6%増、前期比(季節調整済み)も0.4%増とプラスを維持しました。市場予想は前年同期比3.4%増でしたので、市場予想を上回る内容です。
一方、INEGIが1月24日発表した1月前半の消費者物価指数は、前年同期比7.94%上昇となり、昨年12月の7.82%上昇から上昇しています。ただ、昨年8月、9月と続いた8.7%上昇からは低下していますので、すでにインフレはピークアウトした可能性があります。ただ、インフレ率が、高止まりすることは予想されるでしょう。メキシコも米国と同様に、インフレはピークアウトしたものの、現時点では高いインフレ率は続いており、金融緩和に舵を切るには時間がかかりそうです。
・メキシコへの送金額は過去最高
2月1日、メキシコ銀行が発表した2022年の外国からの送金額は、前年比13.4%増の584億9700万ドルとなり、過去最高を更新しました。同銀によると、送金回数、平均送金額ともに増加しており、送金回数は前年比9.8%増の1億4996万回、平均額は同3.3%増の390ドルでした。これは、雇用情勢が非常に好調な米国への出稼ぎ労働者からの送金が増えているためとみられます。2月3日に発表された1月の米雇用統計をみると、FRBが昨年3月から金融引き締めに動いているにも関わらず、米国の雇用情勢は非常に好調です。今年もメキシコから米国への出稼ぎ労働者は増加し、それに伴い送金額も増加する可能性がありそうです。
また、企業のメキシコへの工場進出も目立っています。メキシコは米国という大消費地に隣接しているうえ、人件費も米国に比べ低く抑えられています。また、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)により、メキシコに生産拠点を置き、一定の基準を満たせば関税ゼロで米国に輸出することもできます。このため、GM、フォード、テスラなどはEV生産の拠点をメキシコに構える計画を持っています。加えて、米中関係の悪化から、中国企業がメキシコに工場を設立し、米国へ輸出する動きもみられ、地理的、関税的な要因からメキシコへの投資は今後も増加しそうです。メキシコペソにとっては強材料になるでしょう。
・テクニカル面からは200日線が支持に
テクニカル面からみると、メキシコペソ・円は、昨年10月21日の7.578円の高値を付けた後、円高の影響から、昨年12月20日には6.586円まで下落しました。その後、6.6~7.0円前後でのレンジ相場となっていますが。1月以降、徐々に下値を切り上げています。
また、昨年12月20日に200日移動平均線を割り込んだものの、200日移動平均線のマイナス2%付近では、支持されました。いまは200日移動平均線と同線プラス1%でレンジウォークとなっています。また、200日移動平均線は、緩やかに上昇を続けています。このため長期の上昇トレンドは継続しており、7.0円台にしっかり乗せれば、買い意欲が強まるとみています。
・メキシコペソ・円の上昇余地はあり
今日の金融政策決定会合では、14会合連続での利上げが実施されるでしょう。利上げ幅は0.25%となりますが、同国のインフレ率の高さをみると、少なくとも半年程度は高い政策金利が維持される公算が大きそうです。日本とメキシコの金融政策の違い、金利差を考えると、メキシコペソ・円には上値余地がありそうです。
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